トワイライトの怠惰な図書室

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ファイアーエムブレム マイユニ×カタリナSS。

パレスまで後一歩の所で、目の前に立ちはだかる狼の群れを、叡智で振り払うアリティアの軍師。
 影の賢者が表舞台に立つ時。

 ミネルバ王女達が偵察を終え、戻ってきたのはちょうど翌日の夕方だった。偵察の内容が内容だけに、ミネルバ王女は休憩も取らず、そのまま軍議が始まった。
「そうですか。やはり峠沿いに敵兵が、しかもオルレアンの狼騎士団が展開していましたか…」
 峠の地図に置かれる駒を見て、カタリナはそう呟いた。
「ハーディン皇帝の親衛隊と同様の忠誠を誇る騎士団か。カタリナの予想通りだな」
「当たって喜びたくなる内容ではありませんけどね」
 ウェルナーの声に、カタリナは苦笑混じりで応える。
「峠を越えてアカネイアパレスに進軍するとなると、どうしても行軍が縦に伸びきった状態になってしまう。カタリナ、どういう編成で側面からの攻撃を防ぐ?」
 マルス様の声に、私は2,3の駒を置いていく。
「はい。側面からの攻撃に備え、展開している方面にはアーマーナイトやジェネラルを展開し、行軍する予定です。偵察内容によると、魔道兵は居ないようですから、これである程度は耐えられると思います。その後、後方より魔道兵と弓兵で攻撃します。騎馬隊については、ある程度敵の攻勢がやんだ後、突撃をかける予定です」
「そうだな。それがいいだろう」
 ジェイガンが置かれた駒と私の説明に頷く。心なしか、声が震え、顔色が良くないように思えた。
「ただ、未確認情報ですが、山間の村にオルレアン王が滞在しているとか」
「オルレアン王が?」
「はい。もしそれが本当なら、内容如何で狼騎士団は引くかも知れません」
「解った。そっちは僕が行こう。ウェルナーとカタリナも一緒に来て貰うけど、構わないかな?」
「はっ」
 その後、細かい詰めが行われ、再び全部隊長に内容が通達され、出陣は翌朝となった。

 翌朝。ウェルナーと私に宛がわれた部屋の扉が乱暴にたたかれた。
「おい、ウェルナー!カタリナ!」
 扉を開けると、そこにはもの凄い剣幕のルークがいた。
「どうしたんですか?」
「どうしたもなにも、ジェイガン様が倒れられたんだよ!」
「えっ!」
 その声に、私とウェルナーは慌ててジェイガン様の部屋に向かった。部屋に入ると、そこにはマルス王子とシーダ様、お付きのセシルがいた。
「ジェイガン様!」
「ウェルナー、そんなに騒ぐでない。ただの疲労だ」
 ジェイガンの声に、ウェルナーと私はほっと息を吐く。
「昨日から調子が悪かったそうだよ。まったく、それならそれで言ってくれればいいのに」
「面目次第もございません。しかし、これ以上マルス様のお側にいることは無理ですな…」
 ジェイガン様の言葉に、マルス様の表情が曇っていく。
「ジェイガン…」
「案ずるに及びませぬ。既にマルス様のお側には、儂よりも優秀な者がおりまする故」
 そういって、ジェイガン様の視線がウェルナーと私に向けられた。
「ウェルナー。儂はもうこれ以上共にゆく事は出来ぬ。故に、そなたにこれを渡したい」
 そういってジェイガン様は愛用の剣を差し出した。その行動に、部屋にいた全員が目を見開いた。
「ジェイガン様!」
「そなたも騎士ならば、これの意味する事が解るな」
「…はっ」
 将軍の位にある者が、他の騎士に愛刀を渡す。それは、自ら将軍の位をそのものに譲り渡すという事であった。
「マルス様、お許し願えますな」
「ジェイガン…今まで、ありがとう」
「何の。儂は一足先にアリティアへ戻り、ご無事にアカネイアを、世界に平和が取り戻せる事を祈っております」
「うん」
「ウェルナー。その剣は先代王より賜りしものである。マルス様を、アカネイアを頼むぞ」
 ジェイガン様の言葉に、ウェルナーは最敬礼を持って答えた。
「はっ!この身命にかけて、マルス様をお守りする剣となります」
「うむ…そして、カタリナよ。そなたにはこれを」
 そういってジェイガン様が差し出したのは、古びた軍配であった。
「これは?」
「それは、代々アリティアの軍師がもつ軍配だよ。カタリナ、今より君をアリティア同盟軍の軍師に任ずる」
「!! わ、私がですか…」
 マルス様の言葉に、思わず受け取った軍配を取り落としそうになった。
「今まで軍師がおらぬ故、儂が形式的に預かっておったが、もはやお供すること敵わぬ故、そなたに託す。そなたもまた、マルス様のお側にあって、ウェルナーと同じく力になってくれ」
「しかし…」
 その言葉に、ウェルナーの手が肩に置かれた。
「大丈夫だ。自分に自信を持て。グラをほぼ犠牲無く陥落したのは、お前のおかげなんだぞ」
「ウェルナー…」
 その言葉を聞いて、マルス様やシーダ様に視線を向けるが、二人はにこやかに微笑みながら頷いた。
「解りました…分不相応にして、愚才の身ではありますが、私も軍師としてマルス様のお役に立ちます」
「頼むぞ。さあマルス様、お急ぎご出陣を」
「わかった。ジェイガン、ゆっくり休んでくれ」
「はっ…ご武運、お祈りしております」
 その後、ジェイガンは急遽用立てられた馬車に乗って、アリティアへと戻っていった。

 出陣の前に、略式ではあったがウェルナーと私の将軍就任、軍師就任の式典が行われ、これを持ってウェルナーはジェイガン様の後を継がれ、全軍の指揮権を有することとなり、私も軍師として行軍における作戦の全権を持つこととなった。
「ウェルナー、カタリナ。改めて宜しく頼むよ」
「はっ!」
「はい!」
 マルス様の言葉に、私たちは最敬礼で答え、全軍アドリア峠に向かって進軍を開始した。今回の行軍はアドリア峠側にアーマーナイトやジェネラルで構成される第四小隊から第六小隊が固め、山間側に騎馬隊である第一小隊から第三小隊。マルス様の護衛を担う第七小隊は中央よりやや後方に位置していた。そして半時経った頃、先行していた飛行部隊から峠に展開している狼騎士団が向かっている旨の一報が入った。
「いよいよ来たか。カタリナ」
 ウェルナーの声に、私は軍配を峠に向けて作戦指示を飛ばしていった。
「第四から第六小隊はそのまま前衛に待機して守備に徹し、弓兵隊と魔道師隊は後方より迫って来る騎兵たちを攻撃、騎馬隊は弓兵たちの攻撃を抜けてきた騎兵隊に対応して下さい!」
『おおおおおっ!』
 作戦指示と同時に狼騎士団も突撃してきたが、敵のホースメンが放つ矢をアーマーナイトたちが跳ね返し、更に後方から飛び交う矢と魔法で向かってくるパラディンやホースメンを撃退していった。途中その合間を抜けてくるパラディンもいたが、後方に控えていた第一から第三小隊の騎兵によって悉く討ち果たされていった。
「おのれ… このままでは敵中を突破することさえ出来ないか」
 狼騎士団の長、ウルフが苦々しく戦況を見ている中、視界に自国と敵国の旗を背にした騎馬兵が何かを叫びながらこちらに向かっているのが見えた。
「なんだ…」
「全軍攻撃をやめよ! まもなくマルス王子とオルレアン王がお見えになられるーっ!」
 騎馬兵の言葉に、ウルフが慌てて指示を飛ばす。
「なに、王が! 全軍攻撃を中止し、後退せよ!」
 攻撃がやんだことに合わせ、こちらも攻撃を中断し、山間付近まで後退した。そしてしばらくすると、マルス王子とオルレアン王がそろって馬に乗って現れた。その横には近衛騎士から近衛将軍となったウェルナー、軍師就任に伴い近衛騎士に任じられたカタリナの姿があった。敵将であるウルフも慌ててこちらに向かってきた。
「王よ、何故このような所に!」
「ウルフよ。此度我がオルレアンは、中立を保つこととした。アカネイア、アリティアどちらにも荷担しない」
「なっ! ハーディン様を裏切ると仰せですか!」
「そうではない。そなたも知らぬ訳では無かろう…今のハーディンは正気ではない。そしてどの様な理由があっても、民を虐げ、国政をないがしろにしている王を、許すわけにはいかぬであろう」
「し、しかしながら… ハーディン様は、王の実弟ではございませぬか!」
「実弟だからこそ、なおさら許すわけにはいかぬのだ!」
 なおも食い下がるウルフに、オルレアン王の恫喝が響いた。流石に主君たるものの言葉となれば、ウルフも頭を垂れるしかなかった。
「今より全軍、わしを護衛してオルレアンに撤退せよ。そして、我が命あるまでいかなる理由があろうとも、国より動くことは許さぬ。よいな」
「…はっ」
「マルス殿。弟を、ハーディンを頼みますぞ」
「最善を尽くします。しかし、もし正気を解くことが出来なかった場合…」
「あやつも武人。戦の中で倒れるならば、本望であろう…」
 そういい残し、オルレアン王と狼騎士団はアドリア峠を越えて撤退していった。峠の守護を担う城にいる部隊はあくまで徹底抗戦の構えを解かなかったが、既にグラにいた小隊の三分の一にも満たない数であった為、ウェルナー指揮する第七小隊によって瞬く間に殲滅され、夕刻には城を制圧することに成功した。
「どうにか峠越えをする事が出来た。これもカタリナの策とウェルナーの指揮のおかげだね」
 マルス様の言葉に、ウェルナーは首を横に振った。
「いえ、俺はカタリナに言われた事をしただけです。今回の功績は、全てカタリナのものだと思います」
 ウェルナーの言葉に、私も慌てて首を横に振った。
「そんな…私はただ最善と思った策を立てただけです。それが無事に成功したのは、ウェルナーのおかげです」
「つまり、二人のおかげって事だよね」
 くすくす笑いながらそういうマルス様に、私たちは顔を赤くして恐縮した。
「なんにせよ、後はパレスまで一直線だ。二人とも、もう少しだけ活躍して貰うよ」
「はっ!」
「はい!」
 マルス様の言葉をもって、軍議は終了となった。

 一方、オルレアン城では…

「どこにいくんだ、ウルフ」
 今正に城門から出て行こうとしたウルフは、その声に慌てて振り返った。そこにいたのは、長年の友であるザガロとビラクであった。
「お前達、どうしてここに」
「たぶん、お前と同じ理由だろう」
 その言葉に、ウルフはふっと一つ笑った。
「王には止められたが、俺はどうしてもハーディン様の元へ行き、あのお方の力になりたいのだ」
「いいのか? 王命に背く事になるぞ」
「たとえこの戦が終わった後、斬首される事になろうとも、あの方の力になれるのなら本望だ」
「…わかった。俺たちもお前と行く。この命は、ハーディン様の為にあるのだからな」
「ザガロ、ビラク… ああ、いくぞ!」
 その夜、ウルフたちはオルレアン城を去り、一路パレスに向かった。

 その頃、ロシェはオルレアン王の元にいた。
「王、お願いがあって参りました」
 膝をついていうその言葉に、オルレアン王は既に何を言おうとしているか理解していた。
「…ハーディンの元へ行きたい、か?」
「いえ、マルス王子の元へ参り、力を貸したく存じます」
「何故だ。私はどちらにも力を貸さないと言ったはずだが?」
 王の言葉に、ロシェは頭を上げて言葉を繋いだ。
「ハーディン様の狂気は既に万人の知るところにございます。私は、この戦いの行く末をこの目で確かめたいのです」
「…ふむ」
「何卒、お許し下さい」
「…良かろう。ただし」
「ただし?」
「本日をもって、そなたを騎士団より除名する」
「…はっ」
 再び頭を下げた後、王はロシェの肩に手を置いて言葉をつなげる。
「今よりそなたは自由だ。何が起ころうと、オルレアンの知る所ではない… 無茶をしてはならぬぞ」
「ははっ!!」
 そしてロシェは三人が既にオルレアンに居ない事を知ると、彼もまた慌ててパレスに向かって馬を走らせた。

 狂気に駆られたハーディン皇帝と、最強を自負するアパネイア第一師団と皇室警護の親衛隊。後の歴史書に「パレス戦歴」記される大戦の開幕が間近に迫っていた。
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2011.08.19 06:58 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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