トワイライトの怠惰な図書室

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ファイアーエムブレム マイユニ×カタリナSS

グラの終焉と、新しき始まり。
影に寄り添う、もう一つの影 第九章

 グラの終焉、そして新しき始まり。

 アリティアを発してから一週間。その間、敵からの攻撃はなく、私たちは無事にグラ城までたどり着いた。マルス様はまずグラのシーマ王女へアカネイア打倒の為、アリティアとの共闘の旨を認めた手紙を送り、その返事を待つため、グラ城の門前で野営を行っていた。その間私はウェルナーと共に、グラ城を見下ろせる小高い丘の上に来ていた。
「どうだ、カタリナ。グラ城の様子は?」
 私の隣で同じくグラ城を見ていたウェルナーは、双眼鏡でグラ城の様子を探っていた私に声をかけてきた。
「そうですね… かなり最悪の状況かも知れません」
 そういって、私は双眼鏡を手渡した。彼もまた双眼鏡でグラ城を見ると、顔をゆがめていた。
「城壁の上に立っている兵士、あれがグラ兵なのか…」
 城壁の上に立ち、私たちの陣営を監視している兵士達は、余りにも若く、また私たちアリティアの装備とは比べものにならず、兵士としての練度もほとんど無い、まさしく数だけを揃えるために集められたような感じだった。
「若いな… まだ10代そこそこじゃないか」
「はい。そして彼らの側にいる兵士が気になりました」
 私の言葉に、彼は再度双眼鏡を覗くと、グラ兵に混じって異色を放つ兵士がいた。彼らとは比べものにならない装備を身にまとう兵士。おそらく、アカネイアから派遣された小隊の兵士だろう。彼は周りにいる兵士達に何かを言いながら、城壁の上を歩いていた。
「アカネイアの兵士が、グラ兵が裏切らないように監視しているのです。あれでは、初手で我々に敵わないと解らせ、逃亡を促してもアカネイア兵に殺される可能性が高いですね。先の作戦では騎馬隊を先行して中庭までを抑え、歩兵隊で捕縛する予定でしたが…かなり難しいかも知れません」
「そうか… ひとまず今の状況をマルス様に報告しよう」

 その後、私はマルス様に状況を報告し、緊急の軍議となった。
「そうか… 厳しい状況だね」
「マルス様。シーマ王女へ送った手紙の返事はどうなりましたか?」
 私の言葉に、マルス王子は力なく首を横に振った。
「そうですか… では、力尽くでグラ城を落とさないと行けませんね」
「うん。でも、カタリナがたててくれた策だと、犠牲をゼロにするのは難しいね」
「はい。アカネイア兵が監視しているとは思いましたが、まさかあそこまで厳重に監視しているとは思いませんでした」
「…なら、極力犠牲を少なくする様に努めるしかない。アカネイア兵とグラ兵の見分けは簡単だし、こちらからグラ兵へ攻撃するのは禁じる。初手で力を見せれば、恐らくグラ兵が攻撃してくるような事はないだろう」
 マルス様の言葉に、全員が頷いた。その後、各小隊長へその旨が通達され、攻撃は翌朝となった。

 翌朝。白亜の城と歌われ、荘厳な美しさを誇っていたグラ城も、今や所々が崩れ落ち、戦火によってすすけており、かつての面影は残っていなかった。城門前に整列した第1から第3の騎馬を中心にした小隊が整列し、攻撃の命令を待っていた。そしてその騎馬隊の最前列で、私とウェルナーは閉ざされた城門を眺めていた。
「城門は閉ざされたまま。やはり、降伏の意志はないようですね」
「ああ」
「…では、行きましょう」
 私の言葉と同時に、ウェルナーの右手が上げられた。私も魔法の詠唱を開始する。手にしているのは、かつて訓練場で使用したファイアーではなく、以前から愛用していたエルファイアーの魔道書。
「灼熱の業火よ!我が元に集いて、彼の敵を討ち滅ぼせ!」
 訓練場で見せたファイアーのおよそ数百倍の大きさの火球が、上空にかざした手の上に現れた。それを見た仲間達はもちろんの事、城壁の上からこちらの様子を見ていたグラ兵達から、驚愕の声が上がった。
「な、なんだ…あれは!」
「ま、ほう…なのか」
「エルファイアー!」

 ドゴォォォォッン!!

 解き放たれた灼熱の大火球は、グラ城の城門をたやすく打ち壊し、爆炎と熱波を周囲にまき散らせていく。それと同時に、ウェルナーの声が響き渡った。
「全軍、突撃ーっ!」
『うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
 第1から第3小隊が咆吼を上げながら突撃していく。城門の後ろで陣を構えていたグラ・アカネイアの兵士達も、先ほどのエルファイアーを見て既にグラ兵達は逃げ腰になっており、そんな兵士達をアカネイアの兵士達が罵声を浴びせながらも、陣を立て直そうとしていた。
「貴様ら!敵前で逃げ出すとは何事だ!」
「ファイアー!」
 そういって、逃げ惑う兵士達に剣を振り下ろそうとした瞬間、アカネイアの兵士は私の放った炎に包まれた。
「ぐわぁぁあ!」
「大丈夫ですか!」
 私の放ったファイアーを受けて倒れるアカネイア兵を尻目に、腰を抜かして倒れるグラ兵がこちらを怯える瞳で見つめていた。
「ひ、ひいい…た、助けて、助けて」
「大丈夫です。私たちはグラの皆さんを攻撃したりしません」
「え…」
「だから、速く逃げるか、後方にいるアリティアの兵士に降伏しろ。俺たちがアカネイア兵を引きつけるから」
 私の横で他のアカネイア兵を倒したウェルナーが、そう声をかけた。その兵士は手近で気を失っている兵士を抱きかかえると、一つ頭を下げて後方に向かっていった。
 それから程なく中庭までを制圧し、いよいよ玉座の間を制圧するという所で、予想通り竜騎士の一団が現れた。しかし、出現場所も私の予想していた場所からであった為、襲い来る竜騎士も、弓兵と魔道兵によって打ち落とされていった。
「ウェルナー様!中庭までの制圧は完了しました!現在、玉座の間へつながる門を破壊しております!」
「解った!」
「早く破壊しないと、シーマ王女の命が危ないです!」
 私の焦りを感じた言葉に、ウェルナーは落ち着くようにと頭に手を乗せてきた。
「大丈夫だ。敵もこれほど早い進軍を予想していなかった様だから、伝令が行った可能性は少ないと思う」
「だと良いのですけど…」

 ガーンッ!

 中庭に門を砕く音が響き渡った。その音と同時に、私とウェルナーは先頭になって突撃していく。
「おのれ、アリティア軍め!」
「かかれ、かかれ!」
 アカネイア兵は私たちの姿を見ると、こぞって武器を振りかざして襲いかかってきた。しかし、ウェルナーは一人で数人の兵士を相手に立ち回り、私は後方から狙い撃ちするスナイパーを魔法で倒しながら、聖杖でウェルナーの傷を癒していった。どちらともなく声をかけずに、互いが必要としている事を以心伝心で行う私たちを見て、多くの兵士達は感嘆の声を上げていた。
「すごい… まるで同じ人間みたい」
「ウェルナー様の力はたびたび拝見してきたつもりだったが、さらに腕を上げられたようだ」
「そしてあの子…」
 ファイアー、サンダー、ブリザーの魔法を適時に使い分け、さらにリライブの杖を振るう私を見てそう呟いたのは、あの第三小隊所属の魔導師たちだった。
「私たちじゃ、あんなに旨くウェルナー様のサポートは出来ない。やっぱりあの子じゃなきゃ、ウェルナー様の隣には居られないのね…」
 それから程なく玉座の間にたどり着くと、そこには無数のアカネイア兵の死骸と、シーマ王女を守るように立つ勇者がそこにいた。
「お前達は… アリティアの兵士か!」
 その勇者、サムソンは私たちの姿を見ると、銀の斧を振りかざしてきた。しかしウェルナーは銀の剣でその斧をさばいていく。
「やめてくれ!俺たちはグラ兵と戦うつもりはない!」
「何?」
「その通りです、シーマ王女」
 突如響き渡る声に振り返ると、そこにはマルス様の姿があった。
「マルス殿…」
「よかった。ご無事だったんですね、シーマ王女。僕たちはグラと戦うつもりはありません。どうか、剣をおろして下さい」
 その言葉に、ようやくサムソンは斧をおろし、シーマ王女も槍を下げた。
「あなたたちがグラの兵を攻撃しなかった事は聞いています。グラはアリティアに、マルス王子にお任せします」
 シーマ王女はそういって頭を下げ、槍を差し出した。マルス王子は側まで歩み寄ると、シーマ王女の前に膝をついた。
「頭を上げて下さい。僕たちアリティアとグラは、かつては一つの国だったのです。これからは共に歩んでいきましょう」
「はっ…」
「勇者サムソン。あなたもシーマ王女と共に力を貸して下さい」
「うむ」
 それからしばらくして、アカネイア兵達の抵抗は止み、生き残った兵士達は捕縛されるか、またはアカネイアへ逃げていった。直ぐに討伐隊を編成しようとしたが、マルス王子の一言で討伐は取りやめとなった。
「き、きさまら…こんな事をして、ただで済むと思うなよ」
 捕縛された兵士の中に、あの小隊長の姿もあった。早々に逃げだそうとしたが、運悪く逃走方面にいたナバールとオグマの二人に見つかり、そのまま捕縛されてしまった。
「アカネイアの兵士達は、逃げ惑うグラ兵達を攻撃したと聞いた…仮にも同盟国であったグラの者を手にかけようとは、どういうつもりだったのだ!」
 シーマ王女の声に、まるで悪びれた様子のない小隊長は一つ鼻を鳴らした。
「ふん。敵前で逃亡するものは兵士ではない。それを倒そうとして何が悪い」
「貴様っ!」
 その声と同時に、サムソンの拳が小隊長の顔にヒットした。口や鼻から血を流し、ようやく怯えた声を上げ始める。
「ひ、ひい… い、いずれハーディン陛下がグラやアリティアを滅ぼすだろう。その時、今やった事を後悔しても遅いからな!」
 その言葉を最後に、小隊長はグラの地下牢へと連れて行かれた。そしてひととき後、疲れを癒すまもなく軍議となった。
「しかし、このままアカネイアへ通常の道で進軍しても、ハーディンに時間を与えるだけですね」
 私の言葉に、マルス様とウェルナーは頷いた。
「どこかに良い道は無いかな?」
 そういって目の前に地図に目を落とすと、ウェルナーは一つの峠を指さした。
「ここを抜けてはどうでしょうか。ここを超えれば、パレスの目の前にでます」
「ここか… 確かにここを抜ければパレスの足下に出られるが、行軍をするには隊列が長くなりすぎる。側面から攻撃されては、ひとたまりもない」
 ジェイガン将軍はその峠を見ながらそうつぶやいた。
「しかし、このまま正面から挑み、アカネイアの兵力を相手にしては、こちらが先に潰されます。私もウェルナーが示した場所を抜け、パレスを目指すことを支持します」
 私の言葉を受け、マルス様も小さくうなずいた。
「まずは天馬騎士と竜騎士の部隊に先行して偵察に出てもらおう。もし側面に敵部隊が配置されていたなら、そちらへの対処も考えなくはいけない」
「はい」
 その後、パオラたち三姉妹とミネルバ王女が偵察の為に飛び立っていった。彼女たちが飛び立つ光景を眺めながら、これから行軍するであろう峠の攻略を考えていた。
「何を考えているんだ、カタリナ?」
 私の隣で同じく彼女たちが飛び立つのを眺めていたウェルナーは、そんな言葉をかけてきた。
「十中八九、峠の側面には敵部隊が展開されていると思います。ハーディン皇帝も、おそらく私たちが正面から攻撃をかけてくるとは思っていません。ならば、最短ルートを通ることを考えれば、きっとあの峠を抜けることを考えるでしょうから」
「そうか… 俺はまずい進言をしたかな」
「しかし、このままでは消耗戦になり、私たちが負けることは目に見えています。あの峠を抜け、パレスへ最短でたどり着き、アカネイアを抑え込む。これ以外、勝つ方法はありません」
「そうだな… 俺もその為に全力を尽くそう」
「はい」
 そういって、二人はこれから先を思いながら、沈みゆく夕日を眺め続けていた。
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2011.03.02 21:55 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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