トワイライトの怠惰な図書室

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ファイアーエムブレム マイユニ×カタリナSS。

光をくれたその人は、闇である私を求めてくれた。
影に寄り添う、もう一つの影 第七章

 訓練場での出来事から三日ほど経った日の午後、マルス様の執務室に呼ばれた。
「マルス様。ウェルナー、カタリナ参りました」
「どうぞ」
 マルス様の執務室には、マルス様とジェイガン様が円卓を囲んでいた。
「やあ。実は今し方、グラ城に潜入した密偵が戻ってきて、現在の兵の配置を調べて貰ったんだ」
 そういって、円卓の上においてある駒を指さした。
「どうやらグラ兵は前線に置かれてはいるが、城内はアカネイア兵のみらしい。シーマ王女の裏切りを恐れ、アカネイア兵が監視をしているのであろう」
「それで、カタリナ。この配置を見て、どういう手で攻める?」
 マルス様の言葉に私はグラ城の正門に置いてあった白い駒を取り、もう片手で顎に手を当てて卓上の地図を眺めていた。
「しかし、殆どのグラ兵が前線に出ていると言うことは、カタリナの読みは当たっていたと言うことか…」
 ウェルナーは地図上に残っている黒駒を見ながらそうつぶやいた。
「好都合と言える配置ですが… むしろ私が心配しているのは、こことここですね」
 そういって、私は地図の右と左を指さした。そこはグラ城を挟む海岸であった。
「ここになにかあるのか?」
「はい。私たちがグラ兵に気を取られているすきに、天馬騎士か竜騎士の一隊が襲いかかってくる可能性があります。闘いが始まると、前方の兵にばかりを見て、左右後方の注意が散漫になります。そこで…」
 そういって、地図の上に次々と白い駒を置いていく。
「グラ城攻略の前面には騎馬隊を置き、騎馬の速度を生かして中庭まで一気に攻め込み、そこまでのアカネイア兵を殲滅、それが出来なくともアカネイア兵達のグラ兵への目を向けさせます。その間に歩兵隊がグラ兵を捕らえて後方に置き、弓兵隊と魔導師隊にて援護と同時に、先ほどお話しした海岸沿いに配備します」
「なるほど… 速度に優れる騎馬隊で先制を撃ち、かつ歩兵隊がグラ兵の確保か。そして手の空いた魔導師や弓兵がそなたの危惧に対応する」
「僕たちはグラ兵のことしか考えてなかったけど、ひらけている海岸からの奇襲は考えてなかった。流石だね、カタリナ!」
「はい。この策ならば ……最悪でもシーマ王女の犠牲で済みます」
「なっ!」
 ウェルナーの驚いた声が響く。マルス様やジェイガン将軍も驚きの余り声が出ず、その一言を言った私を見た。
「城内にシーマ王女以外居ないのであれば、グラ兵の拿捕が知れ渡れば、シーマ王女の価値がなくなり、後々の禍根を無くすために殺すと言うこともありえると思います」
「確か、に… どうすればよい、カタリナ?」
 その言葉と同時に、私は目を伏せる。そう、それを防ぐ方法は無謀とも言える一策だけ。
「…たった一つだけあります。しかし、これは無謀ともいえる策です」
「それは?」
 その一言は誰が言ったのか解らないほど小さなつぶやきだったが、私はそのつぶやきと同時に考えを話した。
「…ワープの魔法で私がシーマ王女の警護に向かいます。魔導師である私ならば、遠近両方の攻撃に対応できますから」
「っ!! 正気か、カタリナ!!」
 ウェルナーは私の肩をつかみ、もの凄い剣幕でそういった。私はその言葉に力なく首を縦に振った。
「私の無力な頭脳では、これ以外の考えが浮かびませんでした。どうか、この策をご了承下さい」
 カタリナはそういったが、マルス様やジェイガン様は苦悩していた。私以上の策が浮かばなかったお二人は、それを了承するほかなかった。
「…解った。だけど、その策はあくまでも最悪の状態になったときだけ許可する。いいね」
「…はい」
 私は生返事を返すしかなかった。だけど、これ以外にシーマ王女を守る策はないと思う。グラ兵の拿捕を始めたと同時に、前線のアカネイア兵は司令官にその旨を伝えるだろう。その伝令速度を超えてシーマ王女を危険から退けるのは、まさに至難の業と言える。
「では、カタリナが最初に話した策を採用しよう。各小隊の隊長に伝え、補給などを整える様に」
「はっ!では、自分の部屋に戻り、先ほどの内容を書面にまとめ、各小隊長に伝令します」
「うん、宜しく頼むよ。アリティア城からの進軍は、一週間後で」
「かしこまりました」
 その言葉と同時に、私たちはウェルナーの部屋に戻った。戻った後、ウェルナーは部屋の真ん中まで歩くと、急に立ち止まった。何事かと思っていると、彼の身体が小刻みに震え、拳を握りしめているのが解った。
「ウェルナー?」
「……して」
「え?」
 掠れてしまうほどの声に、私はもう一歩歩み寄ると、彼は振り返った。その顔はこの前と同じ、怒りを堪えているあの表情。
「どうして、あんな無茶な事を言ったんだ!」
「! それは…」
 その言葉に私は驚いた。無茶な事、それは恐らく私がワープの魔法でシーマ王女の元へ向かうという事だろう。
「進軍速度と伝令速度の速さを比べた時、これ以外に方法が思いつかなかったんです… だから」
「本当にそう思ってるのか? お前、自分の命なんかどうなってもいいからとあんな作戦を進言したんじゃないか?」
「!!」
 言い返せなかった。あんな作戦、玉砕同様だ。誰も行きたがるわけ無い。
「どうして… どうしてお前はそう、命を無駄にしようとするんだ…」
「ウェルナー… いいんです。私の命がどうなろうと、貴方のお役に立ちたいんです。だから、大丈夫です」
 その言葉を言った時の私の顔は、きっと偽りの笑顔を浮かべていたんだと思う。だって、死んでしまったらもう、ウェルナーの隣に居る事はできなんだから。それは、何よりもつらいけど、彼の役に立てるなら、それでいいと思った。しかし、その直後、私の頬に痛みが走った。何事かと思い思わず頬に手を当てて前を見ると、ウェルナーの瞳から涙が零れていた。
「馬鹿野郎! 俺の役に立ちたいから、命がどうなっても良い? そんな事あるわけ無いだろう!」
「あ…」
「お前が死んだら、マルス様やシーダ様、そして第七小隊の面々だって悲しむに決まってる! それに…」
 その言葉の後、私は彼の胸の中に居た。彼の力強い腕で抱きしめられるその心地よさに、一瞬ウェルナーの怒りを忘れてしまいそうになった。
「俺は、お前が居なくなったら、悲しい」
「ウェルナー… どうして、そんなに私に優しくしてくれるんですか?」
 私はその言葉に涙しながらも、一言呟いてしまった。どうして彼はこんなにも私に優しくしてくれるのだろう。初めてあったアリティア城の時から、彼はいつだった隣に居てくれた。優しさを、笑顔をくれた。そう、闇に落ちていた私が欲しかった全てを、彼は私に与えてくれた。それなのに、私は裏切り、彼のくれたその優しさや笑顔を捨てたのに。どうして…
「大切なんだ、お前が。他の誰よりも、お前の事が」
「!!!」
 その一言に、私の顔は一気に真っ赤になり、胸が大きく高鳴った。そして、その後の言葉は何よりも、誰よりも彼から欲しかった言葉。

「好きだよ… カタリナ」
「ウェ、ルナー…あ、ああ…」

 この言葉を聞いた時、私は止めどなくあふれ出す涙を止められなかった。彼も私と同じ、互いが互いを必要としている半身。その心はもう何よりも強い絆で結ばれている事が何よりも理解できる言葉。
「だから、もうそんなこと言うな。そして、命を無駄にしないでくれ。他ならぬ、俺と共に歩む未来のために」
「は、い… はい、はい!」
 そういうのが精一杯だった。そんな私を見て、彼は微笑みながら私の頭を撫でてくれた。
「私も、私も貴方が大好きです、ウェルナー!」
「…ありがとう、カタリナ」

 この日の事は生涯忘れない。光をくれたその人は、いつまでも私と共に歩んでくれると言ってくれた。ならば、私もその人と共にいつまでも居よう。それが私に出来る、ただ一つの恩返しだから。
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2011.01.04 11:08 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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