トワイライトの怠惰な図書室

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ファイアーエムブレム マイユニ×カタリナSS。

全てを見通す遠大な知謀と、全てを退ける絶大な魔法力。
影に寄り添う、もう一つの影 第六章

 全てを見通す遠大な知謀と、全てを退ける絶大な魔法力。

 急遽マルス王子に呼び出された私たちは、急ぎマルス様の執務室へ向かった。
「マルス様。お呼びにより、ウェルナー、カタリナ参りました」
「どうぞ」
 扉を開けると、そこには円卓の上に地図を広げ、その地図に幾つかの駒を置きながら何かを話しているマルス様とジェイガン様が居た。
「やあ。急に呼び出して済まないね」
「いえ、構いません。どうかされましたか?」
「うん。今し方ガトー様が魔力で僕たちの前にお見えになってね。グルニア内乱から始まった一連の出来頃の黒幕が解ったんだ」
「黒幕、ですか…」
「うむ。そなたも名ぐらいは聞いた事があるのではないか? あのガーネフの名を」
「ガーネフ!あの先の大戦でドルーアに荷担した魔王ガーネフですか!」
 私はその名を聞いて、迂闊だったと思った。エレミア様の口から何度も出てきたその名を、どうして言わなかったのかと。
「しかし、先の大戦で滅びたと聞いていましたが」
「うん。僕もそう思ってたんだけど、どうやらガーネフはその精神を闇のオーブに取り込まれ、今は精神体として存在しているらしい」
「あの…」
 先ほどから話が続けられる中、私は小さく声をかけた。その声に三人の視線がこちらに集中した。
「どうした、カタリナ?」
「えっと、意見できる立場ではない事は十分承知しているのですが… 宜しいでしょうか?」
「そんな事気にしなくて良い。お前には活躍して貰うって、言ったはずだ」
 ウェルナーのその言葉に、私は小さく頷いた。
「はい。そのガーネフの名前ですが、私が居た暗殺組織の長、エレミア様の口から何度も聞きました」
「なんだって!」
「おそらく、暗殺組織を裏で操っていたのはそのガーネフだと思います」
「なるほど… だから、そなたのいた暗殺組織は、何度もマルス様やその仲間達の命を狙っていたという事か」
「だとすると、ハーディン皇帝の乱心も、もしかしたら…」
 ウェルナーのつぶやきに、マルス様は頷いて言葉をつなげる。
「どうやら、ガーネフに唆されて闇のオーブを受け取り、そのオーブに精神を支配されたらしい。闇のオーブはあらゆる攻撃を退け、持ち主の力を増大させる力がある。だからあのグレードブリッジでの戦いで、ハーディンには攻撃が効かなかったんだと思う。しかし、今はそれに対抗できる力がこちらにもある。この光のオーブが」
 そういってマルス様は懐から光り輝く黄金のオーブを取り出した。
「それで、これから我々はパレスに向けて進軍する事にした。ハーディンを闇のオーブの呪縛から解き放ち、恐怖政治を終わらせなくはならない。二人にも作戦会議に加わって欲しい」
「はっ!」
 そういって円卓を囲んで話が始まった。
「まずパレスまでの道のりだけど、第一の関門はここグラだ。グルニア遠征の際、アカネイアと協力してアリティアを陥落させた事を考えると、大人しく通してくれるとも思えない」
 そういって、マルス様の指がグラ城に置かれている駒に触れた。
「しかし、情報に寄れば既に主力部隊だったアーマーナイトやジェネラルの部隊は既に無く、現在のグラ軍は新兵ばかりだという。まあ、我らの敵ではないが、問題はアカネイア軍の一個小隊が未だ駐留しているらしい」
 ジェイガン様がグラ城に追加で駒を置かれる。
「グラ軍の司令官は誰なのですか?」
「シーマ王女という、先王の娘だそうだ。今まで何処にいたのかは定かではないが、ハーディン皇帝が見つけ出し、グラ王の座に据えたそうだ。新兵達はそのシーマ王女を慕って義勇軍を募ったらしい。しかし、今や我らがアリティア城を奪還した事で意気消沈し、既に抵抗する意志はないそうだ」
「では、グラ兵が攻撃してくる事は無いなら、アカネイア兵だけを相手にすればよいという事ですね」
 ジェイガン将軍とウェルナーはそういって頷き有ったが、私は恐ろしい可能性を否定しきれなかった。
「あの、宜しいでしょうか」
「なんだい、カタリナ」
「マルス様は具体的に、どのような作戦でグラ城を攻略されるおつもりなのですか?」
「そうだね。さっきのウェルナーやジェイガンの話通りなら、グラ城へ進撃した際、抵抗してこないグラ兵は無視してアカネイア兵だけを倒し、シーマ王女を説得するつもりで居るけど」
 その言葉に、やはりこの三人は楽観的な視点で策を考えているという事が良く解った。今までジェイガン様が軍師として作戦を立案していたようだけど、よくこんな楽観的な視点で策をたててうまくいっていたものだと思った。
「しかし、その作戦には重大な点がいくつか抜けていると思います」
「抜けている?なにがだ、カタリナ」
 ウェルナーの言葉を繋ぎ、私は先ほどまで考えていた恐ろしい可能性を話した。
「まずグラ兵が攻撃してくる事はないという事ですが、これについては信用できると思います。向かってきたところでアリティア軍に殲滅されるのがオチです。しかし、アカネイア軍はそんなグラ兵達を見て、どう思うでしょうか?」
 三人はその言葉に目を見開いた。
「まさか… いやしかし、グラはアカネイアの同盟国だぞ。いくら何でもそんな事は…」
「しないという保証はありません。今のアカネイアにとって、グラなどどうなって構わないのです。その証拠に、アリティアに最も近く、かつパレスを目指すには通過しなくてはならないグラに、一個小隊しか置いていません。グラが裏切ったのならば、ハーディン皇帝はこれを好機とばかりに、アリティア諸共攻め滅ぼすつもりでしょう」
「うーむ… 確かにそういわれてみれば、頷けなくもない」
「私がグラに駐留する小隊の指揮官ならば、グラ兵達を前面に立たせ、後方より弓兵や魔道兵による遠距離攻撃を仕掛けます。そうすれば前面からの攻撃を無効化できますし、その気になればグラ兵を盾にして攻撃する事も出来ます。相手はグラ兵がいくら倒されようと問題にはしないでしょうけど、こちらは無抵抗の兵を倒したとなれば、マルス様の名に傷が付きます」
「…なるほど、解った。しかしカタリナ、君は凄いな。これだけの短時間で、ここまで考えるとは」
 マルス様は私にお褒めの言葉を下さったが、私は出過ぎたまねをしてしまった事に気づき、慌てて頭を下げた。
「も、申し訳ありません…監視されている罪人が、出過ぎた事を申しました」
「…カタリナ」
 その言葉に頭を上げると、ウェルナーは私の頭を軽く小突いた。
「いたっ」
「もう二度と、そんな卑下た事を口にするな。言っただろ? お前の活躍をみんなに見て貰い、信頼して貰うんだって」
「ウェルナー…」
 その言葉に、マルス様やジェイガン様も頷いた。
「そうだよカタリナ。君は軍師見習いだって聞いていたけど、今回の話を聞いて、君は見習いどころかとても優秀な軍師である事も解った。今後はジェイガンと同じく、軍師として作戦の立案に関わって欲しい。まあ、ウェルナーの側にいる事になってるんだから、嫌でも参加して貰うけどね」
 いたずらっぽくそういうマルス様に、私は恐縮するしか無かった。
「はい、マルス様」
「で、カタリナ。具体的に打開策はあるのかな?」
「そうですね。先ほども申し上げましたが、グラ兵をいかに巻き込まずに戦うかが鍵になります。そこで、グラ兵を見かけ次第捕縛して後方に送り、同時にアカネイア兵を殲滅します。グラの城門付近の兵士達は問題ないと思いますが、中庭や城内のグラ兵がどうでるか、またアカネイア兵がそれを見てどうでるかですね」
「うーむ… 中庭と城内か」
「ジェイガン様。グラ城の兵士達の配置などは解りますか?」
「いや、まだそこまで詳しい情報は入ってきていないな」
「そうですか… マルス様、密偵の数を増やし、現在のアカネイア兵・グラ兵の配置を確認した方が宜しいかと思います。それによって進軍する部隊の配置も立案できます」
「解った。ジェイガン、密偵の数を増やし、カタリナの言っていた内容を調べるように手配して欲しい」
「承知しました」
「その情報が集まるまで僕たちは待機だね。また情報が集まったら呼ぶから、それまではいつも通りにしていて欲しい。では、解散。ご苦労様。ウェルナー、カタリナ」
「はっ、失礼します」
「失礼します」
 一つ礼をして部屋を退出し、ウェルナーの控え室へ戻ろうとした時、後ろからウェルナーの名を呼ぶ声が響いた。
「あの、ウェルナー様」
 振り向けば、そこには数名の女性兵士達が居た。服装から察するに、魔導師であろうか。
「君たちは…」
「私たちは第三小隊に所属するものです。その、そこの女に話があるのですが宜しいでしょうか?」
「カタリナに?」
 そういってその子達は頷く。しかし、その子達の私を見る視線は、怨嗟に満ちていた。
「解った。それで、話とは?」
「あの、ウェルナー様には外して欲しいのですが」
 その言葉に、ウェルナーは首を横に振った。
「悪いけどそれは出来ない。いま、カタリナは俺の監視の下、四六時中隣に居る事がマルス様の厳命なんだ。だから、カタリナを一人にする事は出来ない」
「四六時中隣…」
 その言葉に、さらにその視線はきつくなっていった。
「解りました。では、訓練場までご同行願えますか?」
「…解った」
 ウェルナーも先ほどから私に向けられる視線と、口調に込められた憤怒に気づいたのだろうか、黙って返事を返した。

 アリティア城 地下訓練場

 その子達の後を追うように歩いて行くと、やがて開けた場所に出た。地下という場所もあってか、そこはヒンヤリとして空気が辺りを多い、通気口として開けられた窓から陽光が部屋を照らしていた。
「あの… それで、私にお話というのは何でしょうか?」
 大凡検討はついているが、あえてそれを口にした。その言葉を聞くと、その子達の口から次々と私を非難する声が響いた。
「じゃあ遠慮無く言わせて貰うけど、どうして裏切り者のあんたがここにいるの」
「それも、ウェルナー様の隣によ!今まで誰も隣に置かなかったウェルナー様の隣に!」
「あんたも魔導師みたいだけど、どうせ大したことないんでしょ。半端なあんたが隣にいたら、ウェルナー様が迷惑よ!」
「そうそう。だから、さっさとアリティアから出て行きなさいよ!」
 その罵声にさすがのウェルナーも何か言い返そうとしたが、私は手を挙げてそれを制した。
「カタリナ!」
「いいんです、ウェルナー。彼女たちの言う事は間違ってません。私は貴方を裏切り、マルス様の命を狙った大罪人。その事実だけは覆しようがありません」
 その言葉に、女性兵士達はさらに言葉を繋いでいく。
「しかもウェルナー様を呼び捨てにするなんて… 何様のつもりよ!」
「ウェルナー様が従騎士時代だったときにはパートナーだったらしいけど、今のあんたは違うのよ!」
「ああ、解ったわ… きっとその当時の事でも話して、ウェルナー様に泣きついたんじゃない?」
「または、その身体を使ってウェルナー様を… きゃはははは!」
「…黙りなさい」 
 ウェルナーさえも侮辱する様な言葉に、さすがの私も我慢できなかった。
「な、なによ…文句有るの」
「私を侮辱する言葉なら、いくらでも口にして構いませんが… ウェルナーを侮辱する事だけは許しません!」
「偉そうに! そんなにいうなら、力で示して貰おうじゃないの!」
 そういって、その子達は魔道書を握りしめる。その中の一人が、炎の魔道書を放り投げてきた。
「ほら、あんたもこの魔道書使いなさいよ。公平を期して、炎の魔法だけで勝負よ!」
「ばかな… そんな意味のない事はやめるんだ!」
 ウェルナーが止めようとするが、私は首を横に振った。彼女たちもまた怒りをその目にたたえていた。
「力で相手を屈服させる事が正しいとは思いません。だけど、彼女たちを納得させ、かつ先ほどの言葉を改めさせるには、これしかありません」
「カタリナ、お前」
「大丈夫です、私は負けません。貴女の隣に居る事が相応しいって、認めさせますから… さあ、勝負です!」
 カタリナのその声に、彼女たちは同時に詠唱を開始する。しかし、カタリナはそんな状況を黙ってみているだけだった。
『ファイアー!』
 同時に響く力ある言葉と共に、数発の火球がカタリナめがけて襲いかかる。何もしないカタリナに、ウェルナーの声が上がる。
「カタリナ!」

 ドォォォン!

 響き渡る爆音と煙、そして熱波。カタリナに直撃したそれを見て、彼女たちは歓喜の声を上げる。
「やったわ!」
「やっぱりその程度なのよ、あんたなんか」
 彼女たちの喜びの声が上がる中、煙がはれたそこにいたのは、身体はおろか、服にさえ焼け跡一つ残っていないカタリナの姿があった。その姿を見て、さすがの彼女たちも声を失った。
「…うそ」
「間違いなく当たったはずなのに、どうして!」
 そんな言葉を聞いたカタリナは、さも当然と言わんばかりの顔を向けた。
「貴女たちの魔力よりも、私の魔法障壁の方が強かった…それだけの事です。では、次は私の番ですね」
 そういって、カタリナは手を掲げると、そこには彼女たちが放ったものよりも数十倍大きい火球が現れた。それを見て、彼女たちは驚きの声を上げた。
「ちょっと! それってエルファイアーじゃ」
「違うわ!確かにファイアーの魔道書を渡したもの!」
「同じ魔法でも、魔力の絶対量で威力は大きく異なります… ファイアー!」

 ズガァァァァァン!!

 彼女たちに向かいくる大火球に、彼女たちは全力で魔法障壁を張り巡らす。しかし、障壁はあっけなく砕かれ、火球は彼女たちの目の前で爆発した。響き渡る爆音と彼女たちの悲鳴、そして先ほどとは比べものにならない黒煙と熱波が訓練場を駆け巡った。
『きゃああああ!!』
 そして爆音が収まり、煙がはれたそこには倒れ降る彼女たちの姿。その光景を見て、さすがのウェルナーも声を失っていた。
「おい、カタリナ…まさか」
 その言葉に、私は首を横に振った。
「多少手加減しましたから…」
 そういって、訓練場に置いてあったリライブの杖を取ると、彼女たちの傷を次々と治していった。
「うっ…」
「気がつきましたか?」
 最初にリライブをかけた子の口から声が響くと、次々と声が上がる。
「な、なんであんた聖杖を使えるのよ…」
 その言葉のあと、スカーフで隠れていた私の胸にある称号に目がとまると、驚きの余り目を見開いていた。
「あんた… 賢者だったのね」
「はい」
「どうやら、私たちの負けね。悔しいけどそれほどの魔力、私たちにはないわ」
「皆さん…」
「もう行きなさいよ… これ以上何か言われたら、惨めじゃない」
「はい。皆さん、ありがとうございました」
 私はそういって魔道書を返し、一つ礼をすると、ウェルナーの所へ戻っていった。
「ウェルナー… 私、その」
 私の心情を察してくれたのか、ウェルナーは私の頭を優しくなでてくれた。あの微笑みと共に。
「お疲れ様、カタリナ」
「…はい」
「行こう」
 そういって、私たちは訓練場を後にした。後にする際、彼女たちのすすり泣く声が聞こえてきたのは、気のせいではなかった。

 力が全てとは思わないけど、力が無くては何も出来ない。そう、ウェルナーの隣にいる私には、今以上の力が必要になると、私の心が言っていた。
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2010.12.31 11:04 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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