トワイライトの怠惰な図書室

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ファイアーエムブレム新・紋章の謎 マイユニ×カタリナ小説。
影の英雄に寄り添う、影の賢者。その出会いと一度目の別離。

マイユニットの名前は「ウェルナー・♂」
クラスは 傭兵→勇者です。
影に寄り添う、もう一つの影 

 第一章

 影に生きる人形だった自分が、
 初めて光を感じたあの時を、今でも忘れない…


「揃っているわね」
 陽光刺さぬ地下の一室に、若い女性の声が響き渡る。
「はい、エレミア様」
 先ほどの女性とは異なる若い女性の声が響く。
「アイネ、クライネ。おまえ達に任務を与えます」
「はい、何なりとお申し付け下さい」
 自分もまたそう答える。
「今回の任務は、英雄王と言われるマルスの暗殺です。あの方から申しつけられた最優先の命令。決して失敗は許されません。わかっているわね、アイネ」
「はい」
「ご安心ください、エレミア様。こんなクズがいなくとも、あたし一人で十分です」
「まあ、クライネはいい子ね」
「…」
 この二人、エレミア様とクライネからクズ呼ばわりされるのは、もう日常的だった為、さして気にもしなかった。
「でも、今回は敵を欺き、中から崩すという作戦も必要になります。その為にアイネ、貴女にはアリティア騎士団に潜伏して貰います」
「騎士団に、ですか?」
「ちょうどアリティア騎士団の入団試験が始まるそうです。貴女は名を変え、利用できそうな人間を見つけ、騎士団に入り込み、時期を待ちなさい」
「はい、エレミア様」
「さあ、お行きなさい」
 エレミアはそういうと、部屋から気配が消えた。
「ふん。あんたみたいなクズと組まなきゃならないなんてね。せいぜい足を引っ張らないでちょうだい」
 クライネもそう言い放つと、同じく部屋から気配が消えた。
「…」
 いつから、こんな風になってしまったんだろう。
 そんな事はとうの昔に解っていた。ただ、理解したくなかっただけだ。

 ドルーア帝国の侵略を端に発した戦乱が終結したのは、ちょうど一年前。その戦乱の傷跡は深く、多くの国と人々に深い傷を残した。
 自分もまた、その戦乱初期に両親を失い、ノルダの奴隷市場で売られていた自分は、最初貴族の召使いに買われた。そこでの生活はおよそ人らしい生活ではなく、家畜同然だった。理由もなく乱暴を受け、食事や寝所もろくに与えて貰えなかった。そんな生活から自分を助けてくれたのが、エレミア様だった。
 アカネイアの孤児院には、クライネ以外にも多くの子供達が居た。そこで感じた人のぬくもりや優しさ。貧しかったけれど、みんなと一緒に居る事が何よりの幸せだった。

 だけど、戦乱はそんな一時の幸せさえも簡単に奪っていった。

 ドルーア帝国の兵士達はついにパレス近くまで迫り、もはやパレスは風前の灯火だった。ドルーアの兵士達は近隣の村々を焼き払い、逃げ惑う市民達を次々と虐殺していった。街や村を守っていた兵士達は我先にと逃げだし、もはや自分たちを守ってくれるものはなく、為す術無く殺されていく人々。エレミア様も孤児達を連れて必至に逃げた。そしてようやく兵士達の目から逃れたときには、すでに孤児達は自分やクライネを含め、数人しか残っていなかった。戦う力を持たぬ自分たちを、笑いながら切り捨てていく兵士達と、その刃にかかって次々と死んでいく友達や村の人たちの断末魔を、今でも忘れない。

 後日、村へ戻った自分たちが目にした光景は、もはや嘗ての面影を一切残していない焼け野原だった。焼き尽くされた家々と、辺り一面に倒れ伏す住人達。そして村の一角に建てられていた孤児院だった建物の前には、最も悲惨な光景が現れた。
 無造作に積まれた子供達の亡骸。そう、孤児院で一緒に暮らしていた友達のなれの果て。私たちは駆け寄って名を呼ぶが、当然かえって来るはずもなかった。
 そんな子供達の亡骸を抱きしめ、絶叫するエレミア様。私たちも止めどなく涙を流した。こんな悲劇がいつまで続かなければならないのだろうか… ドルーアを、そして自分たちから税を徴収しながらも、守る事さえしなかったアカネイアに憎悪した。そして誓った。いつか必ず、自分たちをこんな目に遭わせた者たちに復讐しようと。

 それからしばらくして、エレミア様は変わってしまった。以前は厳しい中にも優しさを持っていたが、今では自分たちを子達と呼びながらも、まるで人形を扱うかの様に、無感情になってしまった。そして光の届かない地下に新しい孤児院をつくると、自分たちの他にも生き残った孤児や、新しく連れてこられた子供達に、戦う術を教え始めた。自分には魔導の才が有ったらしく、エレミア様の元で魔導の勉強を始めた。クライネは弓を扱う様になったが、自分がクライネに異変を感じたのは、性格の変化だった。
 以前は喧嘩をする事はあっても、自分とクライネは一番の友達だった。だが、クライネはいつの事からか自分をクズ呼ばわりするようになり、それは自分以外にも同様だった。何度もそんな言い方をしないでと言ってきたが、まったく改めようとしなかった。ついにエレミア様にその事を伝えると、エレミア様も又、同様の事を口にし始めた。

「私の役に立たない者を、クズと呼ぶのは当然でしょう?」

 その言葉を聞いたとき、理解してしまった。もう、二度とあの時には戻れない。自分たちは影の中でしか生きられない人形になるのだと。
 それから私も感情を押し殺してきた。エレミア様に命じられる事を淡々とこなす日常。暗殺の対象は国の要人から、名も無き市民まで様々だったが、自分はその全てを魔法の炎で焼き殺してきた。殺してきた人の中には当然子供達も居て、焼け焦げた親の側で泣き叫ぶ声を何度か聞いてきたが、今はさして気にならなかった。

 …嘗ての感傷に浸るなど意味が無い事だと解っていても、時々思い出さずには居られない。人形である自分が、そんなもの必要ないのに。

「くだらないですね」

 自虐的な笑みを浮かべると、自分も又部屋から消えた。


 一月後、自分はアリティア城の城門前にいた。
「ここにマルス王子が… 任務は確実にこなす。私にはそれしかないのですから」
 そう気を引き締めると、入団試験の会場へ駆け出した。

 ドンッ!

「きゃっ!」
「っと、大丈夫か」
 不覚にも目の前にいた人にぶつかり、そのまま倒れそうになったところを、ぶつかった人が慌てて抱き留めてくれた。
「あ、ご、ごめんなさい」
「いや、怪我をしなくて良かったな」
 そういって、その人は微笑みながら話しかけてくれた。その微笑みを見た瞬間、自分は光を感じた。そう、影の中で生きている自分が光を。
「? どうした」
「え、あ… な、何でもないです。済みません、ぶつかってしまって」
「気にしなくて良いさ」
「はい。あ、もしかして入団希望の方ですか?」
「ああ。おれはウェルナー。セア村から来たんだ」
「私はア…」
 そこまで言いかけて、慌てて口を閉じた。
「ア?」
「い、いえ… カタリナといいます。私もマルス様にお仕えしたくて、入団試験を受けに来ました。宜しくお願いします、ウェルナーさん」
「ウェルナーでいいさ。おれもカタリナって呼ばせてもらうから」
「はい、ウェルナー」
「じゃあ、行こうか」
 そういって、自分に手を差し出してくれた。その手を握ったとき、暖かいものが心に広がっていった。先ほどの微笑みとこの手から感じる温もり…そう、失ってしまった太陽の様な光を再び彼から感じる事が出来た。忘れたくなかったあの光を。

「よくぞ来た。栄えあるアリティア騎士団への入団を志す者たちよ」
 中央広場で、現騎士団長を務めるジェイガン将軍より入団試験開始の挨拶を受ける。
「入団を目指す者は多々あるが、その中で騎士となれる者は僅かである。諸君の健闘を祈る。まずは入団試験として、個人の力を見せて貰おう。二人一組と成って、我らアリティア正騎士を相手に戦って貰う!」
 まずい… まだ利用できそうな人を見つけて居ない。そう思い、咄嗟に隣にいたウェルナーに声をかけた。
「あ、あの。もし良かったら一緒に組んで貰えませんか? 私、軍師志望なのです」
「軍師?」
「は、はい。戦いの助言などは出来るのですが、戦う力はなくて…」
「解った。行こうカタリナ」
 それから、すぐ戦闘になった。私は二、三助言をして後方でウェルナーの戦いを見ていたが、彼の強さには思わず目を見張った。アリティア正騎士はもちろん、あの歴戦の強者であるジェイガン将軍でさえ歯牙にかけない程の強さだった。
「うむ、今年の入団希望者は優秀な者が多そうだ。精進する様にな」
「やりましたウェルナー! とはいっても、私は何もしてませんけど。ウェルナーのおかげですね」
「そんなことないさ。カタリナの助言があったから勝てたんだよ。これからも宜しくな」
「はい!」
 そういって、知らず知らずに彼に微笑みながら答えていた。しばらく忘れていたこの微笑みを、彼には自然に向ける事が出来る。そんな当たり前の事が、今の自分には何よりも幸せだった。

 それから自分は第七小隊に配属になり、ウェルナーも第七小隊に配属になった。
「あなたも第七小隊に配属になったのですね。私、嬉しいです」
「ああ。さてと、他のメンバーは誰だ?」
 そういって辺りを見回すと、ソシアルナイトが二人と、弓兵が一人いた。
「おれはルーク。暁の正騎士って呼んでくれ!」
「私はロディ。宜しく頼む」
「僕はライアンっていいます。宜しくお願いします」
「みなさん、宜しくお願いします。さっそく今日の任務ですが、この小隊の隊長を決める事です」
「隊長? 分かった、そこまでいうならおれがなるぜ」
「待って下さい。私はウェルナーを推薦します。彼はすごく強いですし、何より足手まといだった私の事を見捨てないでくれました」
 ルークがそう言ったが、私はウェルナーを推薦した。彼が隊長になれば、自分にとっても何かと都合が良いし、何より彼になって欲しいと思った。
「よしわかった!なら、おれと勝負して、勝った方が隊長だ」
「ど、どうしてそうなるのですか?」
「男同士の決めごとは、こうするもんなんだよ。まさかウェルナー、恐くなったなんて言わないよな?」
 その言葉に、私は自分の感情を堪えられなかった。
「ば、馬鹿にしないで下さい! ウェルナーはあなた何かに負けません!」
「ならば二人一組で戦おう。私がルークにつくから、ウェルナーにはライアンがついてくれ」
「はい」
 そういって、隊長を決めるための戦闘が行われたが、やはりウェルナーの強さは間違いではなく、ライアンの力を借りずに二人とも倒してしまった。
「くそ… 腕には自信あったんだけどなぁ」
「アリティア騎士の強さは、一人一人の力ではなく、共に力を合わせることで発揮される。これからは私たちもウェルナーの元、力を合わせなくてはな」
 ロディはそういうと、ウェルナーと堅く握手を交わした。
「そうですね。私たちならできます」
 カタリナも満足そうにうなずいたが、内心は複雑であった。
(…いつからでしょうか、仲間という言葉に、意味を持てなくなったのは…)

 それからしばらく後、第七小隊は訓練でアリティア城へ日程内に帰還するという訓練を受けていた中、ウェルナーの方向音痴で迷ってしまった私たちの前に、村をおそうならず者の集団に出くわした。
「このまま見過ごす訳にはいかない。みんないくぞ!」
 ウェルナーの号令の元、第七小隊と途中で加わってくれた魔導師マリク殿の協力で、瞬く間にならず者たちを退治した。そして遅れながらも帰還した翌日の朝、私とウェルナーはマルス様に呼び出された。
「第七小隊隊長ウェルナー。カタリナと共に参りました。
「ああ、ご苦労様。そんなにかたくならなくて良いよ」
「あの、マルス様に呼び出されたと言うことは… 昨日の盗賊退治のことでしょうか? や、やっぱり軍令違反で罪に…」
 カタリナのその言葉に、マルス様は首を横に振った。
「いやそうじゃない。ならず者たちから民を守ってくれたことに礼をしたいと思ってね」
「そうですか、よかった」
「それにしても、君たちの実力はジェイガンやカインから聞いている。第七小隊は他の小隊に比べても特に優秀で、ウェルナーの剣技はすでに従騎士とは思えないほど優れたもので、またカタリナはその洞察力や戦術眼は目を見張るものがあると聞いているよ」
 マルス様のお褒めの言葉に、私たちはただただ恐縮してしまった。
「そこで二人にお願いがあるんだけど、正騎士になった暁には、君たち二人には僕の近衛騎士になってもらいたいと思う」
「近衛騎士、ですか? それはマルス様の身辺をお守りする大切な役目。俺たちのような新人で宜しいのですか?」
「君たち二人は近衛騎士としての素質を十分に持ってると思っている。どうか僕を助けてほしい」
 その言葉を聞いた後、マルス様は執務を行うべく部屋に戻って行かれた。

 その夜

「あの、ウェルナー」
 彼の名を呼ぶと、彼はそのまま振り向いた。
「どうかしたのか、カタリナ?」
「あの…さきほどの話ですけど、ウェルナーはどう思いますか?」
「近衛騎士の話か?」
「はい。私は、ウェルナーとなら近衛騎士になりたいです」
 そこで一つ息をつくと、さらに言葉をつなげた。
「ウェルナーは、どうですか?」
 その言葉に、彼は最初に出会ったときと同じ微笑みを浮かべていた。
「ああ、俺もそう望んでいる。カタリナとなら、やっていけると」
 その言葉を聞いたとき、顔が赤くなり胸が高鳴ることを堪えきれなかった。しかし、ウェルナーはそんな私をみて、不思議そうな表情を浮かべていた。
「な、なんか照れますね… お、おやすみなさい」
 そういって小走りに私は宛がわれた部屋へ戻っていった。今夜はとても眠れそうにない…

 それから第七小隊は様々な訓練を重ね、いよいよ騎士叙勲を決める最終試験を迎えることになった。全員が緊張したまま中、カタリナは一人、近隣の森に居た。

「… … …」

 ざっ…

 背後で草を踏み空ける音が響き渡る。慌てて振り向くと、そこには今まで考え、涙を流していた理由が居た。
「カタリナ? どうしたんだ、こんな所で」
「あ、ウェルナー… いえ、その」
「! 泣いているのか」
 その言葉に慌てて涙をぬぐうが、時すでに遅かった。
「いえ、何でもないんです」
「何かあったのか? 誰かに何かされたのか」
「大丈夫です。本当になんでもないですから」
 無理に笑顔を作り答えたが、ウェルナーの表情は変わらなかった。
「…おまえを泣かせるやつは、俺が許さない」
「ウェルナー…」
 そんなこと言わないで下さい… そんなこと言われたら、私は貴方から離れられなくなってしまう。別離の時は、もうそこまで来ているのに。
「今は最終試験に集中しましょう。理由は後でお話ししますから」
 そういって、私は早足で彼の元を後にした。落涙は、まだ止まりそうになかった。

 第七小隊は無事試験を合格し、いよいよ騎士叙勲を迎えることになった。全員は喜びを露わにしながら、叙勲式を待っていた。
「いよいよだな。騎士叙勲は祖父の悲願だった。やっとそれを叶えることが出来る」
 いつもは冷静なウェルナーでさえ、喜びを隠しきれないようだった。
「はい。私もうれしいです…」
「そして、俺たち二人はマルス様の近衛騎士になる。これからも一緒だな、カタリナ」
 そういって笑顔で語りかけるウェルナーに、私の胸は締め付けられそうだった。

 やっぱり彼の元を離れたくない! 彼の隣は誰にも渡したくない! でも… でも、私は…

「カタリナ?」
 心配そうに私の顔を覗いてくる彼に、慌てて顔を背けてしまった。そんな私に何かを言おうとしたとき、ジェイガン様の声が玉座の間に響き渡る。
「これより叙勲式を執り行う。第七小隊隊長 ウェルナー。前に!」
「はっ!」
 ウェルナーがマルス様の前に歩もうとしたその時、入り口から声が響いた。
「マルス様、ジェイガン様! 大変です!」
「何事だ!叙勲式の最中だぞ!」
「て、敵襲です! すでに備えがあったのか、敵はすでに城内に!」
「なんだと!誰も気づかなかったのか! ええい、儂が直接指揮を執る!」
 そういってジェイガン様は連絡に来た兵士と共に駆けだしていった。
「ね、ねえ。あたしたちも行かなくていいのかしら!」
「大丈夫だ。城内には多くの兵が居る。私たちはむしろここでマルス様をお守りするほうが…」

「…兵は役に立ちませんよ。痺れ薬を飲んでますから」

 ロディの言葉を遮るように、私は言葉を繋いでいく。
「か、カタリナ… あんた、何を言ってるのよ!」
 セシルの激高が響く中、私は淡々と言葉を繋いでいく。
「そういう命令だったんです。私の本当の目的は、英雄王マルスの暗殺。その為に、私はアリティア騎士団に忍び込み、下準備を行ってきました。全てはこの日のために…」
 一歩、また一歩と後ずさりながらそう言葉を繋いでいく。第七小隊の面々だけでなく、マルス様自身も信じられないといった顔をしていた。
「それから、私の本当の名前はアイネ… カタリナは私の偽りの名前です」
 その言葉と同時に、ウェルナーは一歩前に出た。
「カタリナ… 本当にお前がやった事なのか」
「はい… さようなら、ウェルナー」
 そういって、私は入り口へと駆けだした。
「カタリナ、待てっ!」

 これでいいんだ… 元から、影が光の下にいることは決して許されないのだから。

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2010.11.03 19:10 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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