トワイライトの怠惰な図書室

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スターオーシャン3 フェイマリ小説。
銀河最高の知恵者の前に、あらゆる策謀は無意味。

恋敵同士の策謀戦

「ふんふんふ~ん♪」
 シランド城客室の中から、機嫌の良い声が聞こえてくる。そこにいたのは蒼髪の少女マリア。
客室に備え付けてある鏡の前で、ファンデーションやマスカラ、ルージュを使ってお化粧している最中であった。
普段のマリアは殆どと言っていいほど化粧っ気がなく、最低限身だしなみを整える程度しかしないのだが、今日は気合いを入れてお化粧していた。着ている服も普段の戦闘服ではなく、前のパーティで着ていた蒼を主体としたフォーマルドレスに身を包んでいた。
「あー、疲れ・・・・」
 そんな中、どうやら買い物を済ませて戻ってきたソフィアが、客室の扉を開いて思わず立ち止まってしまった。その視点は化粧を続けているマリアに注がれている。
「あら、おかえりなさい」
「・・・・・」
「? どうしたのソフィア。私の顔に何か付いてる」
 先程から自分の顔を見つめているソフィアを不審に思い、声をかけるが、一向に返事が無い。
「ソフィアっ!」
「・・・はっ! あ、マリアさん」
「どうしたの、ぼーっと私の顔を見たりして」
「え、あ、その・・・綺麗だなぁと思って」
 顔を真っ赤にしながら、しどろもどろにそういうソフィアに、マリアは一つ微笑みを浮かべた。
「まあ、ありがとう」
「なんだいマリア。随分おめかししてるじゃないか」
 そんなやりとりをしている時、客室にネルが現れた。
「あら、ネル」
「ふーん・・・」
 ソフィアの様にぼーっと見ていると言うよりは、品定めしているような視線でマリアを見るネル。
「な、なによ」
「なんでもないよ。で、どっかいくのかい」
「ええ。ネルは「アポステリオリ」っていうレストランを知ってる?」
 ネスは少し首を傾げた後、何かを思いだしたように言葉をつなげる。
「ああ。確か一日一客しか取らないっていう予約限定のレストランだろ。あんまりにも人気なんで、確か一年以上先まで予約が入っているとか」
「そうなの。そのレストランで、フェイトが二人だけで食事しようって誘ってくれたのよ」
 満点の笑顔でそういうマリア。しかし、その言葉をその場にいた一人の少女が聞き逃すはずが無く、聞き終えたその後、思わずその場で固まってしまった。
「へぇ。よく予約が取れたね」
「なんでもそのお店のオーナーとフェイトは知り合いらしくて、この話しをしたら快く聞いてくれたそうなのよ」
 そうこう話しをしている内に、身だしなみを整えたマリアは、すっと立ち上がりドアへ向かっていく。
「そういう訳で、今日は私たちの夕食はいらないわ。帰りも遅くなると思うから、先にみんなは休んでいて貰って構わないわ」
「解った。楽しんでおいでよ」
 そういって笑顔で送るネル。マリアは今にでもスキップしそうな程軽い足取りで城門へと向かっていく。ネルはひとつ息を吐くと、先程から隣で固まっているソフィアに声をかける。
「ソフィア、いつまでそうしているんだい」
「ふふふふふ・・・」
 突然ソフィアから不気味な笑い声が聞こえてきた。ネルは思わず半歩後ろに下がる。「・・・ソフィア?」
「邪魔してやる・・・そして、二人の仲を引き裂いて、再びフェイトは私の元に♪」
 光悦した表情でそういうソフィアに、ネルは頭をかかえた。ソフィアはフェイトがマリアと恋仲だという事実を認めてはいなく、何かにつけて二人の邪魔をしている。
 しかし、その度にマリアにいいようにしてやられているというのに、まったく懲りていないのだ。
「そうと解れば、さっそく私もいかなくちゃ!」
 ソフィアもまたダッシュでマリアの後を追った。

 後日ソフィアは語る。「なんでマリアさんが賢者といわれているのか、今日ではっきり解りました。二度とあの二人の間柄に手は出しません」と。


「ええっと、フェイトは・・・と」
 待ち合わせ場所に少し遅れてしまったマリアは、辺りをキョロキョロ見回しながら想い人を探していたが、一カ所不自然な人だかりがあり、そこに目をやると、キャーキャーと黄色い声を上げる年頃の女の子達に囲まれているフェイトの姿があった。
「フェイト様~、わたしと是非お茶しませんか!」
「フェイト様。宜しければ私とご一緒にお食事など」
「え、いや・・・僕は、その」
 大勢の女の子に言い寄られ、どうにかそれを交わしているフェイト。そんな時、フェイトと女の子達の間に、一条の光が貫き、光が当たった壁が轟音をたてて崩れ落ちた。その余りに突然の事に、一瞬にして静まりかえる人だかり。
 その光の発射元に目をやれば、そこにいたのは普段の戦闘服ではない、おしゃれした衣装で小型の護身用フェイズガンを構えるマリアの姿が。
「マ、マリア・・・」
「待った?フェイト」
 にっこりと微笑んでフェイトに近づくマリア。フェイトの周りを取り囲んでいた女の子達は、まさしく蜘蛛の子を散らす勢いで彼の元を離れていった。
「いや、その(め、目が笑ってない)」
 嫌な汗が首筋を伝うフェイト。
「さ、いきましょ」
 強引にフェイトの左腕に、自分の右腕を組むと、レストランの方向へ歩いていった。

「ソフィア様~。話が違うじゃないですかぁ!」
「そうですよ。フェイト様がお一人でこちらにいらっしゃるなんて言うから、私たちは喜んで協力したのに」
「どういう事ですか!ソフィア様!」
 先程フェイトの周りを囲んでいた女の子達が、別の場所で様子を窺っていたソフィアに文句を言っていた。そのソフィアはと言うと、アハハと乾いた笑いを浮かべていた。「あはは、ごめんなさーい。まさか、マリアさんと待ち合わせしてたなんて知らなくて(ちっ、あのままいけば、絶対フェイトは断り切れなくて、別の女の子と食事に行ったのに)」
 周りから文句を言われながらも、舌打ちしているソフィア。フェイマリ引き剥がし作戦その1、失敗。

 あれからどうにか機嫌が直ったマリアは、フェイトと共にアポステリオリに着いた。ドアを開けたその中は、地球でいう19世紀初頭のイギリスのダイニングの様な、凝った装飾で飾り立てるのではなく、そこにいて落ち着ける家庭的な雰囲気を醸し出していた。
「わぁ、すてき」
「うん、いい感じだよね」
 二人はしばしその雰囲気を楽しんでいたが、やがて奥から少し太り目の男性が姿を表した。その男性は、人なつっこい笑顔を浮かべて二人の前に着くと、丁寧な口調で挨拶した。
「これはフェイト様、いらっしゃいませ」
「やあ、フレッドさん。今日はありがとうございます」
「なんのなんの。先日助けていただいた事に比べれば、大したことではありませんよ」「フェイト、先日って?」
 隣で話を聞いていたマリアは、自分の知らない先日のことを訊ねた。
「ああ。先日ね、フレッドさんが町はずれで暴漢達に絡まれていた所を、たまたま買い出しから帰る途中で見てさ、それでね」
「そうだったの」
「あの時は本当にありがとうございました。フェイト様に通りかかって頂けなかったら、このフレッド命を失っていたかも知れません・・・おっと、立ち話で申し訳在りませんでした。ささ、こちらへ」
 フレッドはそこで一度話しを区切って、二人に用意されたテーブルへと案内した。街が一望できるこの席から見えるシランドは、美しい夜景を作り出していた。
「さあ、今日は腕によりをかけて作りました。どうかごゆっくりお楽しみ下さい」
 そういって、奥からメイド達が料理を運んでくる。どれもこれもシェフの腕前がふんだんに込められている料理ばかりであった。
「ワインも特別なものを用意致しました」
 そういって出されたワインは、フェイトとマリアが生まれた19年前のものであった。「あ、誕生年のワインだわ、これ」
 マリアのその言葉に、フレッドはとても嬉しそうに微笑むと、コルクを抜くためソムリエナイフに手を伸ばした。
「おお、そうでしたか。この年は葡萄の出来が非常に良く、近年希にみるヴィンテージワインが出来た年なのですよ」
「そんな高級なワイン・・・すいません、フレッドさん」
「お気になさらなくて結構ですよ。お二人のような素敵な恋人達に飲んで頂いた方が、このワインも幸せだと思いますからな」
 そんな言葉と共に、瓶からコルクの抜ける小気味よい音が響き、二人の前にあるワイングラスに、紅い芳醇な香りを持つ酒が注がれる。
「マリア・・・乾杯」
「乾杯」
 響くグラスの音が、二人だけの楽しい食事の始まりを告げた。

「うううー!フェイトってば、16年間一緒にいた私でさえ、こんな素敵な食事に連れてってくれた事ないのにー!!」
 いったいどこから忍び込んだのか、マリア達のテーブルが用意された窓際の席のすぐ側の窓の下に、嫉妬に燃える幼馴染みの姿があった。
「さっきは失敗したけど・・・今度こそ」
 そういって取り出したのは、あからさまに怪しい赤い液体の入った小さな薬瓶。
「このゴッサム特製惚れ薬スーパーDXで、マリアさんを別の男に・・・ふふふふふ」
 そういって、厨房の窓から忍び込み、二人のために用意されていたポタージュスープにいれ様としたその時、強烈な光と爆風がソフィアを襲った。
「え、何・・・きゃあああ!!」
 ソフィアは、そのまま訳も分からず吹っ飛んだ。もちろんその音はフェイト達の所にまで響いた。
「な、なんだ」
「厨房に仕掛けてあった不法侵入者迎撃爆弾が炸裂したんじゃない」
 ワインを飲みながら、さらっというマリア。
「な、なんでそんなものが」
「さっきあなたから、フレッドさんが暴漢に襲われたって聞いたので、不法侵入されやすい場所に仕掛けておいたのよ。もちろん、フレッドさんの許可はもらっているわ」
 フェイトの当然の疑問に、さも当たり前のようにいうマリア。隣で給仕していたフレッドさんに、一つウィンクを送ると、フレッドさんはにっこりと微笑んだ。
「いやぁ、まさかこんなに早く役に立つとは思いませんでしたよ。ありがとうございます」
「いえいえ(まだまだ甘いわよ、ソフィア)」
 こうして二人の楽しい時間はまだまだ続いていた。フェイマリ引き剥がし作戦その2、失敗。
「うー!!負けないもん!!」
 黒こげになりながらも、不毛な心意気とはいえ、未だ衰えない辺りは、尊敬に値するかも知れない。

 やがて食事もメインディッシュを食べ終え、残りはデザートのみという所で、みょうにフェイトの落ち着きが無くなってきた。
「どうしたのフェイト。なんだか落ち着かないみたいだけど」
「あ、ああ・・・その」
 いつもはメリハリつけて話すフェイトらしくないその態度に、マリアは不安に駆られた。もしかしたら「今日の食事は、君とのお別れの為なんだ・・・」とか言われるのではないかと。しかし、その予想は見事に外れた。
「マリア、これを受け取ってくれないか・・」
 そういって、フェイトの懐から取り出されたのは、指輪が入った小箱だった。
「えっ・・・これって」
「今は戦いの最中だから無理だけど、この戦いが終わったら、僕と一緒に来てくれないか?」
 そこまでいうと、フェイトはマリアの左薬指に指輪をはめ、最後の言葉を紡いだ。
「結婚して欲しい、マリア」
「フェイト・・・」
 マリアは泣いていた。しかし、その涙が悲しみからではないことを、二人は共に解っていた。だからこそ、フェイトは涙を拭ってあげるなどと言う無粋な真似はせず、席を立って彼女を後ろから抱きしめた。
「愛してるよ、マリア」
「わ、私も・・・私もフェイトだけを愛してる。私はあなたの元を絶対に離れないわ」
「ありがとう、マリア」
 二人はそういうと、深い深いキスを交わした。そのキスの味を二人は決して忘れないと思った。

 やがてプロポーズが済み、互いの確かな気持ちを確かめ合った直後、フレッドさんがデザートと紅茶を持って現れた。真の給仕というのは、絶妙なタイミングを常に心得ているものである。
「お待たせしました。今日のデザートは、この店の名前の由来にもなった「アポステリオリ」です」
 二人の前にあるデザート皿に置かれたケーキは、セピア色の美しい光沢を持ったスポンジケーキであった。そしてカップに注がれる紅茶は、ベルガモットの香り立つアールグレイであった。
「わあ、綺麗なケーキね」
「フレッドさん。アポステリオリってどういう意味なんですか?」
 ケーキにフォークを通しながら、何気なく訊ねるフェイトに、フレッドはお代わりの紅茶を注ぎながら答えた。
「アポステリオリとは、「後からついてくるもの」という意味です。この店で出される料理は、全てお客様の楽しい時間や会話の「後に付いてくるもの」だと思っております。メインは、あくまでもお客様がこのお店で過ごされる楽しい時間なのですから、料理が先になっては行けない。そしてこのデザートは、その中で最も後になるものなので、このデザートにアポステリオリと付けさせて頂きました」
「へぇ、そうなんだ。マリア知ってた?」
 フェイトのその言葉に、マリアはアールグレイの香りを楽しみながら答えた。
「つまり、私たちの想い出に残るこの時間が、アプリオリという訳ですね、フレッドさん」
 マリアのその言葉に、言葉ではなく笑顔で応えるフレッド。
「アプリオリって?」
「アポステリオリの逆、先にあるものという意味よ」
 ウィンク一つしてそう答えるマリアに、「なんでこんな事知ってるんだ」という最もな疑問が頭をよぎったが、とりあえずそれは端に置いておいて、フェイトはもくもくと目の前のデザートと紅茶を平らげていった。

「フェイト様、マリア様。本日はお楽しみ頂けましたでしょうか?」
 お皿を下げながら、フレッドは二人にそう尋ねた。二人は席を立つと、にっこりと微笑んで答えた。
「ええ。最高でしたよ。料理もデザートも」
「そして、フェイトの気持ちもね」
 そういって、先程貰った指輪を大事そうに眺めた。それに気づいたフレッドは、驚きと同時に笑顔が浮かんだ。
「なんと・・・そういう事でしたか!いやあ、おめでとうございます!私の店でその様なおめでたい事をして頂いていたとは・・・あ、そうだ。ちょっと待っていて頂けますか!」
 そういってフレッドは地下のワインセラーに向かうと、しばらくしたのち、一本のボトルが握られていた。
「お二人の新しき門出に、是非これをお持ち下さい」
 そういって出されたのは、シーハーツ王国でも数本しか存在しないといわれる、至玉のスパークリングワイン「イリューシャ・グランセリウス」であった。
「こ、こんなもの頂けませんよ!」
「いえ、是非お受け取り下さい!私の、いえこの国に住まう者達を代表して、お二人に祝福させて頂きたいのです。ぜひお仲間のみなさんとお召し上がり下さい」
「・・・解りました。ありがたく頂いていきますわ」
「お二人に、アペリスの祝福があらん事を」
 その言葉を聞いて、二人は再び微笑みが浮かんだ。

「こうなったら、このお店もろとも吹き飛ばしちゃうんだから。フェイトも巻き込まれちゃうけど、後でレイズデットかけてあげれば問題なし!」
 いよいよせっぱ詰まったソフィアは、もはや作戦もへったくれもない強硬手段を取り始めた。杖を構え、エクスプロージョンの詠唱を開始する。
「・・・全てを焼き尽くす浄化の炎よ。我が元に集いて敵を滅ぼせ・・・」
 膨大な紋章力が杖にため込まれ、最後の力ある言葉と共に、それは解放された。
「エクスプロージョン!」
 灼熱の大火球がアポステリオリ目がけて飛んでいく。しかし、お店にぶつかるその直前、火球は跡形もなく消え去った。
「ええっ!」
「これが最後の手かしら?」
 そういって現れたのは、ソフィアの恋敵マリアその人であった。ソフィアを見据えるマリアの手には、蒼い光が宿っていた。
「改変紋章、アルティネイション・・・」
「そういうこと・・・これでチェックメイトね、ソフィア」
 くすっと笑うマリアの横に、遅れてお店から出てきた彼女の想い人、フェイトが現れた。
「あれ、ソフィア。どうしてここにいるんだい?」
 どうやらエクスプロージョンが放たれたことをフェイトは知らないらしく、不思議な目でソフィアをみていた。さすがに一連の出来事がばれたらまずいと思ったのか、なんとか言い訳を考えていた時、救いの船は思いがけない人から出された。
「もう遅いから、心配になって私たちを迎えに来てくれたそうよ」
「そうなのか、ソフィア?」
 マリアの意外な助け船に、ソフィアは驚きながらもコクコクと頭を縦に振った。
「そうなんだ。じゃあ帰ろうか」
 そういって歩き出すフェイトとマリアの横を、ソフィアは黙って歩き出した。そしてシランド城へ向かうその途中、フェイトに聞こえないような小さな声で、マリアはソフィアに囁いた。
「私の邪魔するなら、もう少し策を練った方がいいわよ。でも、もう邪魔しても無意味かも知れないけどね」
 そういって、左薬指にはめた指輪をソフィアに見せた。その指輪を見たソフィアは、先程の言葉だけで全てマリアに見透かされていたんだと落ち込んでいた気持ちに、さらなる追い打ちを駆け、その場に倒れてしまった。釈迦の手の平の孫悟空のごとく、全てはマリアの思いのままになっていたという事である。
 
 この日以来、ソフィアがマリアにちょっかいを出してくることは無くなった。稀代の賢者相手に、いかなる手も無意味なのだと、心の底から思い知らされたからであろう。
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2010.11.03 18:48 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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