トワイライトの怠惰な図書室

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 スターオーシャン3フェイマリ小説。秋の空の下、彼女は想いを再確認する。

乙女心と秋の空

 豊穣を司る秋。シランド城客室の窓から街を見下ろせば、美しい紅葉が一面に広がっていた。そんな美しい光景を、マリアはぼんやりと見つめていた。
「どうしひゃんでひゅか、マリアひゃん」
 同室で宿泊しているソフィアが、口の中に季節の果物を頬張りながら声をかける。
「食べるか話すか、どちらかにしなさい」
 マリアは呆れた様な視線を向けながら、そんなソフィアに声をかけた。ソフィアも流石にお行儀が悪いと感じたのか、慌ててモグモグと口を動かし、果物をお茶で流し込んだ。
「ぷはぁ… ごめんなさい、マリアさん。それで、どうしたんですか?」
「ん、別に。紅葉が綺麗だなと思ったのよ」
「そうですね。地球では、こんなに手つかずの自然何か殆どありませんからね」
 ソフィアは相づちを打ちながらも、手は再びテーブルの果物に伸びていた。
(食欲の秋、ねぇ… どうしてあんなに食べても、プロポーションが変わらないのかしら)
 同じ女として、彼女のプロポーションの良さには多少コンプレックスを感じているマリアである。そんな事を考えながら、マリアはふいに立ち上がり、ドアへと足を向けた。
「ちょっと散歩に行ってくるわ。夕食までには戻るから」
「はい、いってらっしゃい」
 そうしてドアを開けると、ちょうどそこにはスフレが立っていた。
「あらスフレ。どうしたの?」
「あ、マリアちゃん。あのね、さっき街の人からたくさん果物を貰ったの! ほら!」
 スフレの手にあったカゴの中には、先程からソフィアが食べていた果実が山程入っていた。
「その果物なら、さっきからソフィアが食べてるわよ」
「そうなんだ。じゃあ、みんなで食べようよ。マリアちゃんも!」
「ええ。でも、今から散歩に行くから、夕食のデザートにでも頂くわ」
「解った! ちゃんとマリアちゃんの分も残しておくね」
「ええ、お願いね」
 そういって、スフレは厨房に向かっていた。そんなスフレを見送ると、そのままあてもなく城内を歩いていた。そして図書室の前に来ると、ドア越しに聞き慣れた声が流れてきた。

「あら、この声は… ネルとアドレー、それにミラージュ?」
 そうしてドアを開けると、一冊の本を手に取りながら、ネルに何か質問しているミラージュの姿があった。
「ネルさん。これはどういう意味なんですか?」
「えっとこれは、星界紋章の事だね。これならアドレー様の方が詳しいよ」
 そういうと、別の書棚で本を探していたアドレーの元に向かい再び質問をする。ネルはそのまま別の本を開くと、横に置いてあったペンで一部を書き写し始めた。
「アドレーさん。すみませんけど、この記述について教えてくれませんか?」
「ん? おお、これはな…」
(お邪魔のようね、ここは。こっちは読書の秋かしら)
 そういって、三人に気付かれない様に静かにドアを閉め、再び城内を歩き始めると、今度は城門側の広場から、野太い声が聞こえてきた。
「こっちの声は、クリフとロジャーね。それに、あれはアルベルかしら」
 広場を覗くと、そこには交互に罵声を浴びせるクリフとロジャー、そしてそんな光景をうんざりと見ているアルベルの姿があった。
「今日という今日こそは、どっちが最強か決着を付けてやるじゃんよ!バカチンが!」
「はっ! おもしれえ、こてんぱんにしてやるぜ、クソガキが!」
「うぬぬぬぬ… いくじゃんよ、ストリームアターック!」
「うけてみな! フラッシュチャリオット!」
 もはや日常茶飯事ともいえるこの光景に、マリアもアルベルも止める様な無駄な事はしない。そして戦闘という名のじゃれ合いも佳境に来たところで、クリフとロジャーが同時に放った技が飛び火し、アルベルに直撃した。
『あ…』
「このクソ虫どもが!」
 そういって、今度はアルベルも乱入しての三つ巴の戦いとなってしまった。まあ、元々好戦的なアルベルならば、こういった事態は十分予測可能ではあるが。
「同レベルね、あの三人は… さしずめ、スポーツの秋かしら」
 肩を竦めながらその場を離れると、ふいにフェイトの姿を見ていない事に気づき、早足に彼の部屋に向かうと、その扉をノックした。しかし、いつもは直ぐに顔を出す彼だが、反応がない。
「居ないのかしら…」
 それから数度ノックを繰り返すが、やはり反応がなかった。
「街にでも行ったのかしら…」
 そう考えたマリアは街へ降りていくと、年頃の女性が黄色い声を上げている人だかりが目に入った。

「何かしら、あの人だかりは」
 そこに向かうと、先程まで探していた人が、多くの女性に囲まれて困った表情を浮かべていた。
「フェイト様、私たちとお茶でもどうですか!」
「いえいえ、私たちとどこか遊びに行きましょう!」
「いや、僕はその… ええと」
 チンピラならば一発殴って大人しくさせる所だが、流石に女の子となるとそうもいかない。フェイトは容姿も良く、腕っ節も強く、そして優しい。となれば年頃の娘が放っておくはずがない。マリア自身もクォークで生活していた時に彼のことを調べたが、彼の側には幼なじみのソフィア以外年頃の女の子が居なかったと言うことに驚いたが、よくよく考えれば、嫉妬深いソフィアが色々と手を回していただろうし、彼が銀河級の鈍感と言うこともあり、喩えソフィアの目をかいくぐって告白してくる娘が居ても、気が付かなかった可能性も十分にあった。

「フェイト」
 突然、聞き慣れたソプラノボイスが響きそちらに振り返ると、そこには些か不機嫌そうな表情のマリアがいた。女の直感か、周りにいた女の子達は表情と声から殺意を感じ、一斉に彼の側から離れた。
「あ、マリア」
「心配したのよ。出かける時は一声かけて欲しいわ」
「うん、ごめん」
「さ、行きましょう。少し付き合って欲しいのよ」
 そういって彼の腕を取ると、そのまま自分の腕と絡めて歩き出した。後ろから先程の女の子達が残念そうな声を上げるが、マリアが一度振り返り、声を上げる女の子達を睨み付けると、流石にそれ以上声が上がることはなかった。
「それにしても、相変わらずもてるわねぇ」
「いや、そんな事は…いてててて」
 彼の弁明は、抓られた腕の痛みで遮断された。
「あんまりプレイボーイしてると、何時か痛い目をみるわよ」
「…はい。でも、どうして僕が一人で歩いてると、女の子が集まってくるのかな」
(はぁ… まったく困った物ね)
 当の本人はそんなつもりは全くないのだが、一人で街を歩いていると、例外なく女の子が集まってきてしまうのだ。本人は自分の容姿や性格がどれだけ女の子を寄せ付けるのか全く自覚が無いのだから、余計始末に悪い。
「それより、お茶にしましょう。流石にさっきの件で疲れたでしょう?」
「うん、そうだね。喉乾いたよ」
 腕を組んで歩く二人は、まさしく理想のカップルの様に思える。歩く先々で年頃の少女達は憧れと羨望の眼差しを向けるし、往年の人たちは暖かい眼差しで見つめていた。それから二人は手近の茶店でお茶を楽しみ、あてもなく街の中を歩き、最期にたどり着いた場所は、マリアが自分の過去を語った公園であった。
「あれからずいぶん経つわね。私たちが初めて出逢った時から」
「うん、そうだね」
 涼しい秋風を身体に感じながら、マリアは一つのびをした。フェイトも流れる水を見つめながら、返事を返した。
「まだまだ先は長そうだけど、頑張らないとね」
 そういって、風で舞い上がった髪を整えながら微笑むマリアに、フェイトは見取れてしまった。フェイト自身もそうだが、マリアも年頃の女の子達が羨望を向ける程の美人であるということにまったく自覚がない。それ故にクォーク時代にリーベルからの激しいアタックに気づきもしなかったのだろう。
「そうだね、頑張らないと。父さんが残した希望を、捨てる訳にはいかないから」
「ええ… それに」
「それに?」
「ふふ、何でもないわ。今はね」
「なんだよ、それ。言いかけたんなら、最期までいえよな」
 フェイトの不満の声を、マリアは再び微笑みで押さえ込み、再び腕を組んでシランド城へと戻っていった。
(この気持ちを今言っても、彼の重圧にしか成らない。だから、この戦いが終わったその時、この気持ちを伝えよう。「貴方が好きです」って)
 乙女心と秋の空。喩え秋の空に流されてしまおうとも、何時か彼の心にたどり着くその時を信じて。秋の青空は、何時までも二人を優しく包む様に広がっていた。
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2008.03.27 22:17 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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