トワイライトの怠惰な図書室

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 スターオーシャン3フェイマリ小説。血のつながり故に、結ばれる事が出来ない二人。

血がもたらす、望まぬ隔て 前編

僕の名はフェイト・ラインゴット。僕には、一目惚れした女の子が居ます。
その子は、綺麗で頭が良くて、何よりも気高い心の持ち主です。
だけど僕は、いくらその子を愛しても、結ばれる事が出来ません。
なぜならば…


私の名はマリア・トレイター。私にはずっと想いを寄せていた男の子が居ます。
彼はかっこよくて優しくて、側にいてくれるだけで安心させてくれる人なんです。
だけど私は、いくら彼を愛しても、結ばれる事が出来ません。
なぜなら…


その子は…
彼は…


実の兄妹だから…



「被験者には、私たちの子供を使う事にしました」
 何の感情もない機械的な声が研究室に響く。多くの仲間達が先程から流れる内容に驚愕しているが、中でも二人の少年少女は見て解る程に驚愕の色が顔に出ていた。それからも驚愕の事実が響き渡るが、二人はもはやそんな声など聞こえてはいなかった。
「…愛しているよ、子供達」
 その声と同時に、部屋に沈黙が走る。一時の沈黙の後、スフレの高い声が響く。
「それで、これからどうするの?」
 その声に、先程から放心状態だったフェイトとマリアがようやく我に返った。
「えっ… あ、そうだね。とりあえずどうしようか」
 そういってマリアに振り返ると、マリアはふいに視線を反らすと、顎に手を当てて思案をまとめる。
「そうね… とりあえずムーンベースで準備を整えてから戻りましょう。FD空間でアイテムなどを購入出来るかどうか解らないわ」
 その言葉に一同うなずくと、娯楽施設へと足を向けた。その途中、二人の頭の中には、先程の言葉が響き渡る。
(そんな、何でよ…っ!)
 聡明な頭脳がこんな時ばかりは恨めしい。マリアは思わず手近の壁を思いっきり叩いた。普段思慮深く、感情を余り表に出す事がないマリアのその行動に、全員が一斉に振り返った。
「お、おいどうした?」
 隣を歩いていたクリフが驚いて声をかけるが、その時のマリアの表情は苦悩そのものであった。さすがにそれ以上声をかける事が出来ずどうしたものかと考えている中、マリアは何も言わず歩き出した。慌ててメンバーが後を追うが、ただ一人、フェイトだけはその場に立ちつくし、マリアの後ろ姿を見つめる。フェイトの表情もまた、マリアと同じく苦悩に満ちていた。
(マリア… 君も、同じなんだね…)

 それからというもの、激動の連続であった。タイムゲート本来の機能、創造主の世界、そして自分たちが住まうこの世界は、紛れもなく電気信号で作られた虚構世界。いつしか研究室で語られた真実は頭の片隅に追いやられ、日々の戦いをこなしていくだけとなっていった。

「あー 毎日戦ってばっかだから、こういったのんびりした時間はいいぜー」
 クリフは腕を大きく伸ばすと、だれにいうでもなく呟いた。
「そうだね。しばらくのんびりして鋭気を養っておかないとね」
 ネルも同じく大きくのびをすると、首を回しながら答えていた。
「とりあえず、二・三日は自由行動ね。何かあったら連絡するわ」
 マリアのその言葉に、全員解散となった。全員と同じくその場を離れようとするマリアを、フェイトが呼び止めた。
「あ、あのさ…」
 マリアはフェイトの目を見ただけで、何を言わんとすべきか解ってしまった。一瞬顔を強ばらせると、無理矢理顔を背けた。
「ごめんなさい… 少し疲れているの。一人にさせて」
 そういうと、答えも聞かずに早足にシランド城へ向かってしまった。
「マリア… 僕は、ただ…」
 フェイトは肩を落として、走り去る想い人を見つめた。その瞳にはあらゆる負の感情が伺えた。

 バタンッ!
 
 マリアは宛われた部屋のドアを勢いよく閉めると、そのままずり落ちる様に座り込んでしまった。すでに瞳には溢れんばかりの涙が浮かんでいた。
「もう、どうしたらいいのか解らない… きちんとフェイトと話さなくちゃいけないと解っているのに、心がそれを拒絶してる。いまさら彼が私の兄だなんていわれても、彼以外の人を愛する事なんて、出来る訳ないっ!」
 マリアは叫ぶと、膝を抱えて泣き出した。止めどなく涙が頬を伝う。自分が最初にして最後の恋と決めた相手。自分と同じ境遇にあり、自分の全てを受け止めてくれると信じて疑わなかった唯一の人。惹かれ合ったこの気持ちは、近親故の親近感だったとは、絶対に信じたくない。だけど、無情にも真実はその全てを打ち壊していく。これが夢であればどれだけいいか… マリアはただ涙を流しているしかなかった。


 グビグビグビ…

 一方フェイトは、手近の酒場に入ると、止めどなくアルコールを口に運んでいた。先程マリアに拒絶された事と、研究室での出来事がごっちゃになり、精神状況は最悪の状況に陥っていた。最初に彼が入ってきたとき、先客達は驚きと喜びの声を上げたが、今は近づく事さえ許さないという雰囲気に誰もが声をかけず、静かに酒を飲んでいた。
「くそっ!」
 飲み干したグラスをテーブルにたたきつける様に置くと、客の間に緊張と恐怖が走る。そんな事など露程も気にせず酒瓶を傾けるが、既に雫しか出てこない。
「おい!早くもってこいよ!」
 開けた酒瓶を壁に投げつけ、マスターに怒鳴りつける。その怒声に何人かの客が店を後にしていた。
「は、はい!今、お持ちします!」
 マスターは慌てて新しい酒瓶を持ち、急ぎ足でフェイトのテーブルに運んでいこうとした。しかし慌てて運ぼうとした為に足がもつれ、そのまま酒瓶は彼の方へと落ちていった。フェイトの服一面にこぼれる酒。その有様に、普段では考えられない程彼は激怒した。
「あ、あああ… も、申し訳ありません!」
「貴様ぁ!」
 フェイトの拳がマスターの顔面に炸裂した。アルコールで既に頭の中が麻痺している為か、手加減無く打ち込んだ為、マスターは手近のテーブルまで吹っ飛んだ。鼻や口から夥しい血が流れ、マスターは恐怖で顔をゆがめ、床におでこを擦りつけてフェイトに許しを請うていた。
「お許しください!お許し下さい!」
「謝って済めば、何でも許されると思ってんのかぁ!」
 そういって、今度はマスターを蹴り飛ばした。半死状態にまで追いやられていたマスターは、もはやエンドレスに謝罪の言葉を呟くだけであった。
「お、お許しを… お許しを…」
 しかしフェイトは怒りが収まらないのか、尚も執拗にマスターに殴る蹴るの暴行を加えていく。店内は恐怖の悲鳴だけが支配していた。そんな時、ウェイトレスの一人が店を出て助けを求めた際、店から流れる喧噪の音を聞いたネルが店内に入ってきた。
「なにしてるんだい! フェイト!!」
 ネルの声に、さすがのフェイトも暴行をやめて手近の椅子に座ると、酒瓶を掴んで口に当てた。
「あんたは急いで治療施術師を呼んできな!」
 ネルはウェイトレスにそういうと、浴びる様に酒を飲むフェイトを殴り飛ばした。先程のマスターと同じく手近のテーブルに吹っ飛ぶが、酒に溺れている今のフェイトには、露程も痛みを感じなかった。
「あんた、自分が何をしたのか解ってるんだろうね!」
 ネルがフェイトの胸ぐらを掴み、無理矢理立たせると、怒りを隠すことなくフェイトを怒鳴りつける。共に旅をしてきた中でも、これほどネルが怒りを顕わにしている所を見た事はなかった。しかし、フェイトはその声に臆する所か、自虐じみた笑みを浮かべていた。
「だったら、どうだっていうんですか」
「っ!」
 反省のかけらもないその態度に、さらにネルの拳がフェイトに炸裂する。
「ぐっ…」
 二度も殴り飛ばされ、流石に苦悶の声が出る。
「今のあんたに城の客室なんか勿体ないね! 牢獄がお似合いさ!」
 ネルは部下と一緒にフェイトを縛り上げ、そのまま彼を牢に放り込んだ。
「そこでしばらく酔いを覚まして、今やってた事を反省するんだね!」
 ネルは吐き捨てる様にそういうと、そのまま来た道を帰っていった。
「は、ははは… ははははは…」
 フェイトは手を顔に当てると、低く低く笑い出した。覆った手の隙間から頬を伝う様に涙が流れていった。

「おい、フェイトはまだ戻ってないのか?」
 今し方メイドに呼ばれて夕食の席についたクリフは、いつも先に来て席に着いているフェイトが居ない事に気付き、向かいの席に着いているネルに聞いた。その事を聞いたネルは不愉快な顔色を浮かべて答えた。
「フェイトなら牢獄にぶち込んでおいた」
「はぁ? あいつなにやらかしたんだよ」
「街の酒場で店主を殴り飛ばしていたんだよ。酷く酔っていたから、酔い覚ましにね」
 平然と言うネルの言葉に、クリフは首を振った。遅れてきたソフィアとスフレも同じ事を聞いてきたが、説明するとソフィアは真っ青になり、スフレは驚きの声を上げた。
「私、ちょっとフェイトの所に行ってきます!」
「ほっときな! 今のフェイトにはこれくらいしないとね」
 ネルの鋭い声に、ソフィアは威勢をそがれ、そのまま自分の席に着いた。
「そういや、マリアもいねぇな。あいつはどうしたんだ」
「いや、マリアの方は私も知らないね」
 そんな時、食卓の用意をしていたメイドの一人が声をかけた。
「マリア様を先程夕食の用意が出来たので、お部屋までお伺いしたのですが、お返事がないのです。ただ、部屋の鍵がかかっているので、お戻りにはなっていると思いますが」
 メイドの言葉に、クリフはやれやれと首を振った。
「やれやれ… フェイトは酔っぱらいで、マリアは引き籠もり。大丈夫かねぇ、これから」
「何か思うところがあるんだろう… そっとしておいてやろう。あんた、後で何か軽い食事でも持って行ってあげな」
 手近のメイドにそういうと、四人は思い思いに食事を始めた。

「うん…」
 マリアは一つうめき声を上げると、そっと目を開いた。既に空は夜のとばりが降り、街の喧噪が窓から聞こえてきた。
「もうこんな時間… あのまま寝てしまったみたい」
 マリアは涙のあとでかさついた顔を洗い、身だしなみを整えている所でノックが響く。
「はい、どうぞ」
「失礼します」
 部屋に入ってきたのは、先程ネルに命じられたメイドであった。
「マリア様。夕食をお持ち致しましたが、お召し上がりになりますか?」
 トレイに簡単な夕食を運んできたメイドが簡素に用件を告げる。マリアは一つ笑顔を返し、手近なテーブルに用意する様に促す。
「では、後ほど片づけに参ります」
 メイドは一つ礼をすると、そのまま踵を返し部屋を出ようとしたとき、マリアの声が呼び止める。
「そういえば、フェイトは戻ってきてる?」
 マリアのその質問に、メイドは顎に指を当てて先程の会話を思い出し、返答する。
「先程御夕食の席で耳にしたのですが、フェイト様は現在地下牢に投獄されているとか」
「投獄! なんで!」
 マリアの激情する声にも眉一つ動かさず冷静に返答するメイド。プロである。
「何でも、昼間に街の酒場で店主に暴行を加えたと。その時のフェイト様は、酷く泥酔されていたそうです」
 感慨なく返答すると、そのままお辞儀一つ残して部屋を後にする。残されたマリアは、頭をかかえて座り込んだ。
「何をしているのよ、私は! 私のはっきりしない態度が、彼をあんなにまで追いつめてしまったというのに!」
 自分自身を怒鳴りつけ、マリアは部屋を飛び出した。そう、愛する人の元へ。
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2008.03.27 21:56 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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