トワイライトの怠惰な図書室

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 スターオーシャン3フェイマリ小説。同じ禁忌の力を持ちながらも、片方は安穏な生活を送っていた事に、愛情と憎しみを覚えたもう片方。

表裏一体

 …私がただ一人愛した人は、私が最も憎しみを抱く人…

 生まれてすぐに本当の両親に捨てられ、義理の両親に育てられたが、その両親もアールディオンとの戦争で失い、脱出ポットで彷徨っていたところをクリフとミラージュに助けられ、そのままなし崩し的に反銀河連邦組織「クォーク」に居ることになった。どこかに行く宛てがあるわけでもないし、本当の両親が居るとは義母と別れる前に聞いたけど、今更会いたいとも思わなかった。

 そして自分自身の呪われた力を知ることになった決定的な事件。銀河連邦の最新鋭艦「インビジブル」との遭遇。インビジブルとディプロでは、性能は決定的に劣っていたし、元々ディプロは戦闘艦ではなく輸送艦だ。もはや為す術無しといった時、私の内に秘めていた力が目を覚ました。その力はまさしく神の力とも言うべき力で、その力を秘めた重力弾の一撃で、最新鋭艦の強力なシールドを打ち破り、インビジブルは虚空に消え去った。それを見届けると、私はそのまま意識を失った。

 目覚めた後、私は気が狂った。何でこんな力を持っているのか、自分は存在していてはいけないのか、悲壮な人生の上に更なる不幸を自分は背負わねばならないのか、と。
 狂気と絶望は身も心も全てを深淵に染め上げ、その日から一歩も部屋を出ようともせず、食事や睡眠さえもまともに取らなくなった。ただただ自分自身の存在定義を問い続ける毎日。しかしそんな毎日の中、ある考えが自分の中に浮かんだ。それは、この力の意味を知ること、そして自分自身の人生をめちゃくちゃにした実の両親への復讐。この力を与えた人間と、それに協力した両親に、自分以上の絶望と苦痛を味あわせてやりたいと思った。

 その瞬間、私はもてる全ての知識を駆使し、銀河連邦のデータベースはもちろんのこと、考えられるあやゆる情報をハッキングとクォークの情報網を使って集めた。実の両親については解らなかったが、この力を作ったのは、銀河連邦最高の科学者、ロキシ・ラインゴットだと言うことが解った。そして自分自身の力は、どうやら「改変」という概念を司る紋章力だと言うことも解った。あやゆる存在の改変を行う事が出来る力。まさしく石ころから金を作り出す、錬金術さえも可能な力。私はその力を制御できるように訓練し、ごく限られたものや場所だけなら、自分の思いのままに作り替えることが出来るようになった。

 そんな日々を送る中、新しく入ってきた情報を見て私は驚いた。私以外にも禁断の紋章を埋め込まれた人間が居るというのだ。私はその情報を元に更に詳しく調べた結果、その人間はロキシ博士の実子、フェイト・ラインゴットだと言うことが解った。彼の個人情報と顔を見て、強く会いたいと思った。自分以外にも禁忌の生を受けた人物。ようやくこの深淵に沈んだ自分を救い出してくれる、自分の全てを捧げてでも共にいて欲しいと願う人物。
 しかし、沸きだした希望の白い心と同時に、もう一つ黒い心も自分の中から沸きだした。自分と同い年の彼は、こんな禁忌の力のことなど知らず、両親や幼なじみと平穏な毎日を過ごしている。何一つ不自由な事はなく、約束された未来をもつ彼。どうしようもなく憎たらしかった。同じ禁忌の紋章を持ちながら、どうして彼と私は真逆の人生を送っているのか。この手で彼の全てを壊してやりたいと思った。自分と同じ禁忌の力を持つものだと教え、私以外頼れる存在はこの世界には居ないのだと突きつけてやりたかった。私自身を救う唯一の存在であると同時に、憎しみの象徴とも言える彼。愛情と憎悪、相反する二つの感情が、自分の内に生まれたこの瞬間、私は彼に会う手はずを整え始めた。

 そしてエリクール2号星で、多少の計算ミスはあったものの、無事に彼と会うことが出来た。実際の彼を見たその時の私は、強い愛情と憎悪を同時に感じた。ハイダでの事件から始まった彼の狂いだした人生。その人生に悲痛な感情を持っていることは容易に解った。悲劇の主人公を演じている彼。しかしそんな悲劇など、私が今まで何十年も味わってきたものに比べれば、まだまだ序幕に過ぎない。彼を手にし、限りない愛情と憎悪を彼に注いでやりたいと思った。そうしないと、自分自身の存在を許せないからだ。
 シランド城で、彼にその禁忌の紋章「ディストラクション」の事を話した。ディストラクションの意味、そしてその力を埋め込んだのは、他ならぬ実の父親だと言うこと。私にも同じ禁忌の紋章が埋め込まれていることなど。
 彼は驚愕していた。信じていた優しい両親が、まさか実の子である自分にそんな力を埋め込んでいたこと。そしてバンデーン艦を一撃で沈めたのが自分だったと言うことに。
 私はそんな彼を見て、強く彼を諭し、私と一緒に来て欲しいと言った。ロキシ博士を助け出し、この力の意味を聞くのだと。しかし、内心は細く微笑んでいた。絶望する彼を見ていい気味だと思った。もちろんそんな事はおくびにも出さないが。
 彼は素直に私を信じてくれたらしく、疑うことなく頷いた。それから彼とオーパーツを守ったり、侯爵龍クロセルを屈服させるなど、様々な出来事があったが、その旅の間も、私は彼に即かず離れずの距離感を保ちながら接していた。彼は確かに憎たらしい存在ではあったが、同時に私自身を救ってくれる存在でもあった。なにせ傍目から見ても、彼はいい男である。他人に対してどこまでも優しい心、整った顔立ち、そして銀河屈指の強さを持つ彼。そんな彼を見ていると、時折憎しみを忘れてしまいそうになる。
 彼も私に対して、禁忌の紋章を持つ物同士の連帯感のようなものを持ち始めていた。それは私が彼に抱く愛情とは違う、ほど遠いものではあったが、それを愛情にまで昇華させる事が、私の目的の一つでもあった。その為ならば、どんな事でもしようと思っている。

 そして、運命は禁断の紋章の意味を最後まで教えようとはしなかった。ロキシ博士の死亡。その瞬間、激しい悔恨が自分の感情を覆い尽くした。何故もっと逃げ切った部屋で問い詰めなかったのだ。運命は何故自分に味方しないのか… これ以上ない絶望を与えてやろうと思っていた人間は、簡単に息を引き取った。許せなかった、ロキシ博士が、そして何よりバンデーンが。だからその場でバンデーン兵達を八つ裂きにして、塵も残らないまで原子分解してやった。後にあの時の私の表情は、およそ人が顕わにするものとは思えなかったと、クリフから聞いた。

 自分の腕の中で息を引き取ったロキシ博士の亡骸を抱きしめ号泣する彼。私は静かにディプロに転送するように指示を出した。ディプロに戻った私は、まずリーダーとしての庶務を済ませ、その後傷ついたネルの様子を見に行った。どうやら重傷ではあったが、無事に生還出来そうだ。そこまで確認したあと、彼の部屋に向かった。
 彼はこれ以上ない悲壮な表情で、目の前で眠るロキシ博士を見つめていた。それを見て、私は内心いらついていた。どこまで彼は悲劇のヒーローを気取れば気が済むのか。私は既に実の両親に捨てられ、なおかつ義理の両親さえ失ったというのに。おそらく人の目が無ければ、彼を張り倒していたかも知れない。そんな彼の隣で限りなく優しい言葉をかけるソフィアをみて、彼女は10年以上も一緒にいながら、彼の本質を理解していないようだ。彼には優しい言葉など意味をなさない。それは、彼と即かず離れず居た私には良く解っていた。アリアスの墓地で力の意味を問うた際も、彼は真っ向からそれを否定した。あの時私の感情は、一時期とはいえ爆発し、彼を強くなじった。そして、彼はその言葉に驚きを示しながらも、私の言葉を信じた。
 だから今回も彼には一切優しい言葉をかけなかった。この力の真実を知る人物が亡くなり、その人物が最後に残した言葉、「ムーンベースへいけ」という言葉を聞いたにも関わらず、彼はまるでやる気を見せない。激しい怒りが自分の中に表れると、それを隠すことさえせず彼に言葉をぶつけた。「君が行かないのなら、私は一人でも行く」と。その言葉の激しさに、当然のごとくソフィアは反論した。両親を失って落ち込んでいるのに、そんな言い方はないと。だが、彼は私の言葉で立ち上がった。自分も一緒に行くと言ってくれた。
 正直この時の言葉は賭でもあった。もしこのまま立ち上がらなければ、彼はロキシ博士の遺体と共に、ソフィアを連れて地球へ戻ったかも知れない。そうすれば、私はただ一つの心のよりどころを失ってしまう。それだけは避けなければならなかったが、どうやら旨くいったようだ。ソフィアは目を見開いて驚いていた。10年以上も一緒にいた自分でさえ、彼を立ち直らせることは出来なかったというのに、たった数ヶ月の私がそれを為し得たことに。剣呑な色が彼女に瞳に浮かんでいたのを見て、もう一押ししておく必要があると感じた。これから彼女を連れて旅を続けていく事は避けようがないなら、感情的にこの女狐を私とフェイトから遠ざけておく必要があると。そんな事を考えていると、全員が一度部屋に戻る事になり、全員が部屋を出た際、私は一度だけベット横たわるロキシ博士に視線を移し、最後にこう告げた。

「フン… 残念だわ。この手でこれ以上ない苦痛と絶望を与えてやろうと思っていたのに…」

 その夜、私は自室に彼を呼んだ。夜、異性の部屋に来たというのに、彼はまるで警戒心を見せなかった。それが私への信頼か、単に何も考えていなかったのかは解らないが、今の自分にはちょうど良かった。同時にディプロに仕掛けられた監視カメラで、彼の後をこっそり追ってきたソフィアの姿も確認していた。彼に気づかれない程度にドアの隙間を僅かに開け、彼を手近の椅子に座らせた。
「どうしたんだい、マリア?」
 彼はあの時ほど落ち込んでは居なかった。それを見て、私は彼の横に腰を下ろした。
「ええ。あの時は思わずきつく言ってしまったから、一言謝りたいと思って」
 少しだけ視線を落としてそういうと、彼はふっと微笑んだ。
「気にしてないよ。マリアにそういって貰ったから、もっと頑張らないとって思ったんだよ」
 その言葉を聞いて、私は彼の首に両手を回し、彼の唇に自分の唇を重ねた。彼は突然のことに驚いた様に目を見開いた。
「ま、マリア… あの、その」
「ふふ…フェイト、私あなたの事が好きよ。禁忌の紋章が私たちを導いたのかも知れないけど、今はそれに感謝してるの。貴方に出会えたこと、貴方を愛することが出来ることに、ね」
 突然の告白に、フェイトは更に驚いていたが、やがて大きく微笑みを浮かべて言葉をつないだ。
「僕も、好きだよ。マリアの事が、誰よりも。今まで君が居なかったら、僕はこの力の意味を知ることなく、ただただ後悔と絶望に打ち拉がれていたと思う。本当に感謝してる」
 フェイトも自分を受け入れてくれた事に、私の白い心は歓喜を上げた。これでもう、私は一人じゃない。この絶望的な運命を彼と共に歩んでいけるという事に。ちらりとドアの方に視線を向けると、そこには先ほどまで居たソフィアの姿がなかった。おそらく私たちが想いを交わした事に絶望したのだろう。明日のソフィアが見物である。
 それから私たちはお互いが果てるまで秘部を繋げ合わせ、その快楽に身をゆだねた。互いに初めて知るその快楽は、何よりも自分たちの存在をつなぎ合わせている事を証明させてくれた。しかし、マリアはもう一つの黒い心を消し去っては居なかった。秘部を重ね合わせる間、薄く笑うと彼の首に回していた手のひらから、ほんの僅かに蒼い光が灯った。彼は目の前の快楽に夢中だったため、そのことに気づく事はなかったが。
 
 翌朝といっても宇宙空間の中なので、朝日を感じる事はないが、いつもの時間に目が覚めると、ベットには自分の他に彼が居た。その事に微笑むと、手早く着替えて彼を起こした。彼は目を覚ますと、昨晩の事を気にしているのか、少しだけ頬を赤くしていた。
「おはよう、フェイト」
 その言葉に、彼もまた微笑んでおはようと言った。そんな恋人通りのやり取りを終え、食堂に向かったところ、自分たち以外の面子が顔を揃えていた。ソフィア以外は私たちが同時に現れた事に多少驚きはしたものの、そのまま気にすることなく朝食を取り始めた。ちらりとソフィアに視線を移すと、旨く誤魔化しているようだが、僅かに残った目の下のクマだけは隠しきれなかったようだ。それによく見ると目も赤い。どうやら昨夜の出来事を見て、一晩中部屋で泣いていたのだろう。私の視線に気がついたのか、ソフィアは回りを気にしながらも、鋭い視線で睨み付けてきた。私はフェイトに気づかれないように鼻で笑うと、わざとらしく彼の口についたソースを指で拭き取り、それを口に入れた。
「ま、マリア…」
 回りの面子も流石にこれには驚いたが、さらにマリアの一言で驚きは更に広がった。
「いいじゃない、私たち恋人同士なんだから」
『えーーーっ!』
 その言葉に、全員朝から驚愕の声を上げる。特にリーベルなどはそのままテーブルにうっつぶしてしまい、ソフィアは解っていた事とはいえ、やはりショックは大きいようだ。
「あんた達、いつの間に…」
 ネルがつぶやくようにそう言うと、マリアはこれまたわざとらしく頬に両手を添え、顔を赤くしながら言葉をつないだ。
「昨晩、私からね…きゃ、恥ずかしい」
 今までクール&ビューティ的なイメージのマリアからは考えられない乙女な仕草に、全員開いた口が塞がらなかった。フェイトに至ってはマリア以上に真っ赤になって、何も言えないようだった。
「という訳で、宜しくね♪」
 何に対して宜しくなのかは良く解らないが、全員は意気消沈しているメンバーも含めて、これからこの二人の幸せムードに当てられながら旅を続けるのかと考えると、胃が痛くなってきたようだ。

 それからムーンベースまでの間、フェイトとマリアは朝起きてから夜寝るまでずっと一緒だった。初日こそ回りの事を考えていたが、二日目になればもう気にする事が無くなっていた。そして夜な夜な肌を重ね合わせ、互いに快楽におぼれていく。しかし、その度にマリアは淡い光をフェイトに浴びせていた。そしてムーンベースにたどり着いたとき、全員はフェイトの心境の変化に気づき始めた。それは、ムーンベースでスフレと再会したときの事だった。
「スフレちゃん!」
 ソフィアは久しぶりに会うスフレと抱き合って喜んでいた。その後、スフレはフェイトの元にいくと、先程と同じく喜びを表したのだが、その時のフェイトの声と表情は、何の感情もなかった。
「ああ」
「フェイト…ちゃん?」
 その一言だけかけると、彼はマリアを連れて避難所へ歩いていった。
「どうしたんだい、フェイトは?」
 横でやり取りを見ていたネルがクリフにそう話しかけるが、クリフは頭を一つ振るだけだった。フェイトは社交的とまでは行かないが、少なくとも知り合いの人間に対して無表情な返事をするような男ではない。しかし、マリアと共に居るときや話しをしているときは、別段変わった様子はない。むしろ恋人同士として、仲良くやっているようだ。
「さあな。マリアに骨抜きにされちまったんじゃねぇか?」
 本気とも冗談とも言えない言葉に、全員が呆れた声を上げた。しかし、当たらずとも遠からずなその言葉を、さらに確信へと導いていったのは、ムーンベースのラインゴット研究所での驚愕の映像であった。
 マリアの紋章に反応したシステムは、封じられていた禁断のデータベースを開いた。そこにいたのはロキシ博士、妻のリョウコ女史。そしてソフィアの両親であるエスティード夫妻であった。そしてロキシ博士の口から語られる驚愕の事実。銀河系を滅ぼそうとする神に対抗すべく、禁断の紋章を作り出したこと。そしてその紋章を自分たちの子供に埋め込んだことなど。夢物語のような話しに、全員が言葉が出なかった。その中でも、私は頭の中が真っ白になっていた。ロキシ博士から語られた話し、「自分たちの子供に埋め込んだ」…そして紋章を埋め込まれたのは私とフェイトだけ。そこから導き出される答えは一つ、つまり私とフェイトは…実の兄妹という事になる。これ以上ない程の絶望と苦痛を耐えてやりたいと思っていた実の親が、まさかロキシ博士だったとは…そして、ただ一人愛した人物が、実の兄だったなんて…
 私は、生き続ける価値があるのか? もうどうでもいいと思った。神に世界が滅ぼされるなら、それでもいいと思う。自分の横にいるフェイトも同じような事を考えているのだろうか。愛した人物が実の妹だったなんて、きっとこれ以上ないショックだろう。そして、これ以上ない程の絶望を感じているだろう。私の中の白と黒の心がそんな事を考えていたその時、部屋中にフェイトの絶叫が響き渡った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 腰の剣を抜き、手当たり次第機械を破壊していく。仲間達も突然のことに対処できなかった。
「僕は!僕は!僕はぁぁぁぁぁあ!!」
「フェイト、落ち着け!」
「フェイトちゃん!」
 取り押さえようとクリフとスフレが駆け寄るが、フェイトは私たちに切っ先を向けて、人とは思えぬ形相で睨み付けてきた。
「近づくな!もう、誰も信じられない!信じられるもんか!」
 発狂するフェイトに、内心その気の狂いように黒い心は喜びを、白い心は悲しみを感じていた。私はフェイトにゆっくり近づくとそっと抱きしめた。
「大丈夫。貴方には私が居るわ」
「マリア…」
「たとえ世界中の人たちが貴方を否定しても、私と貴方は表裏一体。いつまでも、いつまでも一緒にいるわ」
「マリア…マリアァァァァ…」
 彼はその場に座り込み、堰を切ったように涙を流した。私は泣きじゃくる子供をあやす母親のように、彼の背中をポンポンと叩きながら強く抱きしめた。彼はその胸の中で、もう世界中で信じられるのはマリアしかないと感じていた。その優しい抱擁の中で何度も涙を流した。私の白い心は、泣き叫ぶ愛する人を前に、これ以上ない幸せを感じていた。これでもう、フェイトは私だけのものになったのだと。
 同時に黒い心も微笑んでいた。最大級の絶望を受け、同時にフェイトはもう、私以外の人間に心を向けることはないだろう。下地として、私の力で彼の精神面を少しづつ、私以外の人間には関心を示さないように書き換えていたが、これで決定的なものとなった。彼の人生はもう、私の意志一つ。逃げることも、逆らうことも出来ない。これこそが、白と黒の心が望んでいたもの。
 白い心は、彼の愛情を自分だけのものにし、自分自身の愛情も彼だけに注いでいくことを望んだ。そして黒い心は、彼の心に最大級の絶望を与え、もう私以外の人間には一切の関心を示さないという、人としての自由を奪い、人生を壊してやることを望んだ。

 …もうフェイトは私だけの可愛い操り人形。いつまでも側に置いて可愛がろう。今の彼に飽きたのなら、またこの力で新しい「彼」に作り替えればいい。私にはその力があるのだから…
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2008.03.05 06:35 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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