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トワイライトの怠惰な図書室

ここは、トワイライトが書きつづった小説をメインに載せていくblogです。無断転用やお持ち帰り等は全て厳禁です!

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 スターオーシャン3フェイマリ小説。大切なファーストキスを、突然奪ったのは彼女の想い人。

ファースト・キス

 それは、余りにも突然の事だった。彼に呼ばれ、ふいに顔を上げたとき、彼の唇が私のと重なっていた。余りにも唐突なその出来事にしばし反応できずにいたが、彼の唇が離れた後、憎たらしい程余裕な笑顔を浮かべている彼の頬を、思わず平手で打ち付けた。
「なんで… なんで…」
 呆然と打たれた右頬を手で押さえながら、私を見ているフェイトに、涙を堪えながらも睨み付ける。しかし、彼からいつまで経っても答えがないことに、私の怒りが爆発した。
「っ!」
「あ、待って! マリア!」
 そんな声など聞こえないかのように、マリアは全速力で宛われた部屋を後にした。

「どうした」
 自分もマリアを追うために部屋を出た直後、偶然通りかかったクリフに呼び止められた。後ろにはスフレやソフィア、ネルも居た。
「クリフ。マリアがどこにいったか知らないか!」
「マリア? いや、しらねぇ」
「そうか…」
「ねえフェイト。頬がなんか腫れてるけど、どうしたの?」
 ソフィアが彼の頬を撫でながらそういうと、フェイトはばつの悪そうに顔を背ける。
「いや… その…」
「はっは~ん。さては、マリアと喧嘩でもしたんだろ」
 クリフの勘の良さが、この時ばかりは恨めしく思った。
「…」
「もしかして、当たりなのかい?」
 後ろで成り行きを見ていたネルの声に、フェイトは尚も言葉が出ない。
「いったい何があったの、フェイトちゃん?」
「実は…」

 ここで、時間は少しさかのぼる。

 シランド城マリア客室。マリアは窓際に置かれた椅子に腰掛け読書をしていた。どうやら前々から知りたかった内容の書かれた本らしく、一心不乱に本を読んでいた。そう、部屋をノックする音すら気が付かない程。
「マリア?」
 幾度もノックするが、返事が返ってこない為にドアを開けて中を覗くと、こちらに背を向けて腰掛けているマリアの姿があった。
「何だ、いるじゃないか」
 そういって、そのまま部屋にはいるが、尚もマリアはフェイトに気づいていない。フェイトは、この時思わず悪戯心が騒ぎ出した。この悪戯心が、平手の代償であった。
(そうだ。気が付かないなら…)
 そう思ったフェイトは、こっそりと彼女の後ろに近づき、彼女がこちらに振り向く当たりの場所まで腰を屈めると、耳元で彼女の名を呼んだ。
「マリア」
 その時初めて彼女は自分の部屋に人が来ていたことに気づき、声のする方に振り向くと、フェイトの顔が目の前に現れ、そのまま彼女の唇は彼のと重なった。
「!!」
(やばっ! どうしよう…)
 どうやら脅かそうとしただけなのだが、偶然の女神はそれだけでは許さなかった。さすがのフェイトも返事に窮し、とりあえず笑顔を返したのだが、これがさらに深みに嵌らせてしまった。

 パンッ!

 心地よい平手の音が響き、先程の状況へと進んでいった。

「と、いうわけなんだ…」
 クリフとネルは頭を抱え、スフレは実に興味深そうな表情であった。そしてソフィアはというと、彼が自分よりも先に他の女の子とキスしてしまったと言う事実を前に、意識を手放してその場に倒れていた。
「あんたねぇ…」
「やれやれ」
「まさか、こんな事になるなんて…」
 さすがのフェイトも反省の色を出して項垂れていた。
「とにかく、はやいともマリアを探して謝ってこい」
 クリフはフェイトの背中を一発叩くと、そのままソフィアを抱き上げ彼女に宛われた部屋へ向かった。
「フェイトちゃん、もしそのキスが、マリアちゃんのファースト・キスだったら、どうするつもり?」
 クリフの後ろを追っていったスフレが、急に振り向きざまそういうと、フェイトは一つ笑って言葉をつなげた。
「その時は、グラビティビュレットの1、2発受けるつもりだよ」
 フェイトはそういうと、急いで城門へ向かって走り出した。

「うっ… ううっ…」
 シランドの街の片隅、マリアがフェイトに自分の過去をうち明けた場所で、両膝を抱えながら泣いていた。
「こんな形で、フェイトとファースト・キスをするなんて…」
 マリア自身、フェイトにキスされる事は嫌などころか、いつかは彼とキスしてみたいと思っていた。だけどファースト・キスだけは、もっとちゃんとした形で想いを告げた後にしたかった。
 しかし、彼にあの時どんな意図があったのかは解らないけど、自分が大切にしてきたこの願いはあっけなく無くなってしまった。
「あ… マリア」
 そんな折り、再び自分の後ろから声が聞こえてきた。今一番聞きたくない人の声でありながら、自分が唯一想いを寄せる相手の声が。

「っ! 来ないで!」

 未だに両膝を抱えてうずくまるマリアは、彼の声を聞くやいなや、拒絶の声を上げる。それまで自分に向かって近づいて来た足音も、ピタリと止まった。
「貴方なんか大っ嫌いよ! 私の気持ちも知らないで… 私のファースト・キスを奪うなんて!」
 最後の言葉は、今のフェイトの心に深く突き刺さった。スフレの予言通り、自分は一番してはならない事をしてしまったのだ。
「貴方の顔はもう見たくないのよ! さっさとあっちに行ってよ!」
 しかし、今まで止まっていた足音が再びし始め、自分の真後ろでピタリと止まると、後ろから自分を抱きしめる彼の感触が背中に現れた。さすがのマリアも顔を上げて彼を見据える。
「何するのよ! 放してよ!」
「謝っても許して貰えないと思うのは当然だと思う。僕が君の大切なファースト・キスを奪ったのは、どんな理由があっても許されないと思う」
 わめくマリアとは対照的に、あくまで優しく話すフェイトに、マリアもいつしか彼の胸の中で大人しく話しを聞き始めた。
「だけど、僕は君の最初のキスを貰えたって解って嬉しかったんだ」
「え?」
 涙目で上目遣いに彼を見るマリアのその涙を指で拭いながら、あの時と同じ穏やかな微笑みを浮かべる。マリアもその笑顔と先程の言葉に黙って次の言葉を待っていた。
「だって、僕は君のことが大好きだから… 何時までも一緒に居たいって思うから」
「フェイト…」
 再びあふれ出すマリアの涙。しかし、今度の涙は悔し涙ではなく、自分が唯一想いを寄せている相手が自分の事を想ってくれていたといううれしさの涙であった。
「だから、僕の片思いだったというのなら… 遠慮することはない。その銃で僕を」
 最後まで言い終える前に、マリアの両手がフェイトの頬に添えられると、そのまま彼の唇に自分の唇を重ねた。
「マリア」
「私も、貴方の事が大好きよ!」
 にっこりと微笑む彼女の笑顔に、フェイト自身も笑顔になる。そして今度はお互いから顔を寄せ合い、三度目のキスを交わした。
 日も沈み初め、二人は互いの想いをはっきりと伝え合った後、仲良く腕を組んでシランド城へと戻るその道筋で、マリアは彼の耳にそっと呟いた。
「同じようなことをして、他の子とキスなんかしたら許さないわよ」
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2007.11.18 22:32 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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