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トワイライトの怠惰な図書室

ここは、トワイライトが書きつづった小説をメインに載せていくblogです。無断転用やお持ち帰り等は全て厳禁です!

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 ファイアーエムブレム聖魔の光石 カイル×ルーテSS。ついに見えた最終決戦地。

グラド城

 ザールブル湿原でセライナ将軍を打ち破ったエフラム軍は、ひとまずタイゼル港へ戻り、再編を行うことになった。多くの兵士達はあのセライナ将軍を打ち破ったことに歓喜し、所々で酒樽が開けられ、勝利の祝宴が繰り広げられていたが、士官達は既に会議室でグラド本城攻略の軍議を行っていた。
「さて… いよいよグラド本城へ進軍だ。残った帝国将は四人。全員が本城防衛に着いている可能性は十分に高い。今までの戦いの中で、最も熾烈になるのは間違いない」
 エフラムの声に、全員は緊張した面持ちで頷く。
「ルーテ。グラド本城の大まかな見取り図を先程デュッセルが作ってくれた。これを元に策を立てて欲しいが、どうだろうか?」
 ルーテはしばらく見取り図を眺めていたが、やがて小さく首を振った。
「さすがグラド城… 正面突破は不可能といえる守りの堅さに、四方の守りも非常に優秀な造りになっています。その堅さはリグバルド要塞の比ではありません」
 絶望的なルーテの発言に、全員がこれ以上ない不安を浮かべる。
「策はない、か」
「このグラド城の守りの堅さに、帝国将四人。唯一取れそうな策は、全軍で本城を囲み、持久戦に持ち込むしか無いかも知れません」
「うむ。本城を取り囲めば、いずれは備蓄の食糧が尽き、敵は打って出てくるしか無くなる。そこを各個撃破し、少しづつ消耗させる。気の長くなる策だが、最も確実かもしれんな」
 デュッセル将軍がルーテの策に賛同するが、なおもルーテの発言が続く。
「しかし、こちらの食料などの確保も必要ですから、ベスロン・タイゼル両港の守備、輸送船団の護衛など、こちらの兵力もかなり制限されてしまいます。もし私が敵の軍師なら、両港の守備と船団護衛のために本城を囲む兵が少なくなったところを見計らい、全軍を持って本城を囲む敵兵達を殲滅し、その勢いのままタイゼル港を奪還します」
「つまり現在の兵力全てで本城を囲みつつも、両港の守備と船団の護衛を行う… これがこの策最大の難点か」
 全員がその言葉に頭を捻り、様々な意見が飛び出すが、どれも決定的なものとは言えなかった。
「やはりこの策は無理か…」
「正面から攻め込むのは不可能ですし、消耗戦も取れない… 八方ふさがりですね」
 珍しく弱気なルーテの発言に、全員が絶望的になる。
「ひとまず偵察隊に現在のグラド城周辺の状況を探って貰い、その上でもう一度話し合うしかないか…ラーチェル、手配を頼む」
「わかりましたわ」
 その言葉と同時に解散となった。

「帝国将4人にグラド本城、本当に攻略できるのか?」
 カイルは部屋に戻り、隣でソファに座ってくつろぐルーテに問いかける。
「現在の兵力では、間違いなく負けます。せめて帝国将が一人も居なければ、勝利する可能性はありますが」
「その可能性は0だろうな。まさか自国の本城が襲われそうな状況で、帝国将が戻ってこないなど有り得ない」
「はい。故に偵察隊の報告を聞いてからでないと、策は立てられません」
 そういって、カイルお手製の紅茶を口にする。
「偵察隊の戻りは、おそらく明朝だろう。それまで、少しでも休んでおかなくてはな」
「はい」
 そういうと、ルーテはカイルの肩に頭を乗せる。カイルも黙ってルーテの肩を自分に引き寄せる。
「…先の激戦を制し、士気は最高潮に高まっています。この機を逃しては、恐らく二度とグラド本城を攻めるなど出来ないでしょう」
「うむ」
「しかし私は、前回の戦いでもう終わりになればと願っているのです」
 珍しく空想的なことを言うルーテに、カイルはいささか驚いた。
「それは無理だろう。何せ向こうから仕掛けてきた戦いだ。何より、ルネスを初めとした多くの国の人間がそれを許さないだろう」
「はい。それは解っていますが… セライナ軍のような、本来なら解り合えた人たちもいるのではないかと考えると」
「そうだな… 確かにそれはそうだ」
「でも、それは私の空想とも言える話しです。空想は現実の前には儚く脆いもの。ならばせめて、敵味方双方の犠牲が少なくて済む最善の策を、考えてみたいと思います」
 カイルはその言葉を聞くと、ルーテを自分の胸に引き寄せ、強く抱きしめた。
「それはありがたいが、余り無理をしないでくれ。君はこの軍に加わってから、ずっと賢者として、そして軍師として戦闘・戦略双方に携わり、肉体的にも精神的にも疲労はピークに達しているはずだ。君が無茶をして倒れることは、私には耐えられない」
 カイルの言葉に、ルーテはそっと胸に顔を寄せる。
「大丈夫です。貴方がこうして抱きしめ、隣にいてくれる限り、私はがんばれます。それに、私も貴方が倒れることは耐えられません。ベスロン港の時の様な事は、もう二度としないで下さい」
「解った。私は最後まで君の側にいて、君を守る」
「私も、最後まで貴方の隣にいて、貴方を守ります」

 翌朝、朝食を取っていた二人に偵察隊が戻ってきた旨が伝えられ、急ぎ朝食を済ませ会議室へ向かった。会議室には既に大半の面子が揃っていた。
「遅くなりました」
「いや、構わない。コーマ、疲れているところ悪いがさっそく報告を頼む」
 エフラム王子の声に、コーマは小さく頷き、懐から小さなノートを取り出した。
「えーと、グラド本城周辺の様子を探ってきたけど、とりあえず城門前には布陣している形跡はなかった。あと近隣の村にも探りを入れたんだけど、最近帝国将の姿を見てないって」
「どれくらいの期間か解りますか?」
「二週間ぐらいだって。最後に見たのはセライナ将軍だって」
「…二週間前と言えば、私たちがベスロン港から出港する前あたりですね」
 それほどの期間見ないと言うことは、エイリーク王女やヒーニアス王子、フレリア領内へ進軍している軍の指揮に当たっている可能性があるが、本城が襲撃されるという報告が入っているなら、一人ぐらいは本城警護の為に戻ってきても良さそうなものである。
「あと、帝国将の一人グレン将軍は、殺害されたって」
「兄貴が! 誰にだ!」
 険しい表情で問い詰めるクーガーに、コーマはさらにノートをめくる。
「えっと、グレン将軍はエイリーク王女の軍へ向かったらしいんだけど、それからしばらくして本城に遺体が運ばれたらしい」
「エイリーク王女だと…」
 その名に、思わずエフラム王子を睨み付けるが、エフラム王子は慌てて弁明をいれる。
「まってくれ! グレンの率いる竜騎士団はグラド最強の部隊だ。エイリークは元々ロストンへ聖石に対する警戒を伝えに行く役目をおって、最低限の兵しかつれていなかった。どう考えても勝てるわけがない!」
「じゃあ、他に誰が…」
 その言葉に、コーマがさらに言葉を繋げる。
「そういえば、グレン将軍がグラド本城から出た後、すぐにヴァルダー将軍が後を追っていったらしいよ。グレン将軍の遺体を運んできたのも、そのヴァルダー将軍だって」
 その名前に、クーガーは確信を得たかのように叫んだ。
「ヴァルダーだと… あいつは昔、帝国将の地位を追われたのは兄貴の所為だって言ってたな!きっとあいつが!?」
 怒りの形相を浮かべ、爪が食い込むほど握りしめるクーガーの手に、隣にいたターナ王女の手が添えられた。
「クーガー… 焦る気持ちは分かるけど、絶対に一人でなんて考えないで。ここにはみんなが、私が居るわ」
「姫… ああ、解ってる。この怒りはあいつに会ったときまで取っておくさ」
 普段の落ち着きを取り戻したクーガーにほっとすると、ルーテはさらに言葉を繋げる。
「クーガーには申し訳ありませんが、これで残る帝国将は3人になりました。しかもコーマの情報を考えると、現在グラド城に帝国将は誰もいないと言うことになります。居るのは帝国皇帝ヴィガルドと、皇子リオンのみですね」
「リオン… あいつは昔から優しい奴だったから、父親の暴走を止められなかったんだろうな… ルーテ、結論から聞こう。今の情報を元に、策はあるか?」
 エフラムの言葉に、ルーテはやや自信なさげに頷いた。
「策と言えるかどうかは解りませんが、まず全軍でグラド城前に布陣し、出方を見ます。その上でさらに帝国将が攻めてくるなら迎撃を、動かないのならこちらから少しだけ仕掛け、まず状況を把握するしかないと思います」
「そうだな… それが最良だろうな」
 ガルシアもルーテの策に頷く。
「解った。明日早朝出陣する。それまでに各部隊の補給などを済ませておいてくれ」
 その言葉と同時に、再び解散となった。

 出撃前夜。ルーテは天幕を抜け出し、一人星空を眺めていた。天空を彩る満天の星空と満月。ルーテは何をするでもなく、じっとその光景を見ていた。

 ざっ…

 後ろに足音が響いたが、ルーテは振り向きもせず、おもむろに言葉をつないだ。
「この様な美しい光景を見ていると、何故人は戦争をするのだろうと思いませんか?」
 問われた本人は、そのままルーテの隣に並ぶと、同じく星空を眺めた。
「それは私にも解らない。私は騎士であり、軍人だ。ある意味、戦争という行為があるからこそ自分自身の存在が成り立っているとも言えなくはない」
 問われたカイルはそう答えた。ルーテはその言葉に肯定も否定もせず、ただ星空を眺めていた。
「そうですね… それはある意味間違っていないと思います」
「しかし、だからといって戦争が正しいことだとは思わない。戦争によって祖国を滅ぼされ、住む場所を焼かれ、家族や恋人を殺されていったものたちが何千人と居るだろう」
「はい」
 そこまで一気に話すと、カイルは一つ息を吐いてルーテに視線を向けた。ルーテもその視線を感じ、カイルの顔を見上げた。
「だからこそ、私たちはこの戦争を止めなくてはいけない。これ以上の惨劇を、引き起こしてはならない。多くの犠牲になった人たちのため、そして私たちの未来のために」
「はい。私もこの魔道と知識を持って、貴方を助け、戦争を終わらせます」
「私もこの槍をもって君を守り、戦争を終わらせることを誓う」
 二人はその後、互いに寄り添い、いつまでも星空を眺めていた。

 早朝、ごく一部の負傷兵を護衛する部隊を残し、ほぼ全軍がタイゼル港を出発した。兵士達の士気は高く、エフラム王子のカリスマ性と、軍師ルーテへの信頼がそれを支えていた。
「グラド本城への到着は明日早朝。先行している偵察隊と天馬騎士団の報告を受けて、最後の詰めをグラド本城前のこの草原に陣を張って受ける形になりますね」
 途中の昼食で、ルーテは地図を広げて指をさした。カイルやフォルデ、ネイミーなど、カイルやルーテと親しい面子は、側で食事を取りながら黙って聞いていた。
「だけど、既に私たちが迫っているというのに、向こうから攻めてくることはおろか、城前に防衛の陣を布かないなんて、皇帝や帝国将は何を考えているのかな?」
 サンドイッチを食べながら、ネイミーは誰に言うでもなく呟く。
「さあなぁ… まあ、こっちにとっては都合の良いことなんだろうけど、ここまで来ると不気味というか、何か策があると考える方が自然だろうな」
 同じくフォルデもサンドイッチを食べながら言う。
「アーチや遠距離魔法による攻撃か、私たちの見えない場所に兵を伏せているか、考えられるとしたらそんな所ですね」
 昼食を終え、紅茶を飲んでいるルーテ。隣にいるカイルも同じく首を縦に振る。しばらくの後、再び進軍が始まり、夜が更けた頃には城前の草原に到着し、陣を張って相手の出方を見ながら牽制を仕掛けていた。
「おーい、偵察隊と天馬騎士団が戻ってたぞ」
 女性陣が夕食の準備にかり出されていたとき、フォルデの声が響いた。
「解りました。すみません、後をお願いします」
 士官達の食事の準備を一緒にしていたアメリアとヴァネッサにそう言い残すと、ルーテとネイミーはそのままエフラム王子の天幕に向かった。

「おそくなりました」
 既にカイルは席についていた。ルーテもその一言の後、隣の椅子に腰をおろす。
「これで全員揃ったか。じゃあまず、コーマから報告を頼む」
 その言葉と同時に、コーマは愛用の手帳を取り出す。
「グラド本城前の状況は、先日と同じ。城門だけ閉ざされている以外、これといった変化はなかった。住人達にも聞いてきたけど、やっぱり帝国将の姿は見てないって」
「そうか…出来すぎている気もするが、ここは好機と取るべきだろう。クーガー、ターナの方はどうだ?」
「俺たちは上空から見える範囲で、敵の備えがないか確認していたんだが、少なくともアーチや魔導師の姿は見かけなかった」
 クーガーの言葉に、ターナも首を縦に振る。
「…では当初の予定通り、明朝城門前に布陣し、少しだけ仕掛けて様子を見ましょう」

 翌早朝、グラド本城前に陣が布かれ、しばらく城門や近辺から兵が出てこないか確認していたが、一向に現れる気配がなかった。
「どうやら本当に兵を伏せている様子がないのですね」
「ああ。しかし、このままじゃ埒があかない。いっそ攻めるか?」
 ルーテの言葉に、隣で指揮をとっているエフラム王子の声が響く。
「そうですね。では最後の確認を込めて、城壁付近を弓と魔法で攻撃してみましょう」
 その言葉の後、ルーテはカイルと直属の魔導師団を、ネイミーは弓兵隊を率い、慎重に城門前に向かった。
「しかし、これほど接近してもここまで接近しても、弓や魔法を放つ気配がないと言うことは、どうやら敵兵は城内決戦をするつもりだと考えるべきですか」
「城内の方が城外より警護がし易いのだろう。でなければ理由が付かない」
「ねえルーテ。どうするの? 攻撃するの?」
 ネイミーの言葉に、ルーテは首を振る。
「いえ、その必要はないでしょう。それよりも、城門は閉ざされたままですか?」
「うん。さっきみんなで門を押してみたんだけど、ビクともしなかった」
「となると、破砕機で城門を壊して攻め込むしか有りませんね」
 ルーテの言葉に、カイルとネイミーが頷く。
「ではいったん引き上げ、破砕機を使って破壊し、進入しましょう」
 程なくルーテの指示で破砕機が用意され、城門を破壊する作業が始まった。
「カイル、フォルデ。門が破壊された跡、敵兵が出てくる可能性があります。破壊後、いつでも攻められるように準備してください」
 その言葉に黙って頷き、部下に指示を出す。

 ガーンッ!!

 甲高い音共に、城門は破壊された。カイルとフォルデの部隊がすぐに城内へなだれ込んだが、そこには敵兵の姿はなかった。
「どうなってるんだ?」
「…デュッセル将軍。流石にこの状況は理解できません。どうお考えですか?」
 後を追って入ってきたルーテは、隣にいたデュッセル将軍に問いかけた。しかし、デュッセル将軍も状況を理解できていないようであった。
「うむ… ここを突破された以上、あと防衛する場所と言えば白の大広間と玉座の間しかない。なぜここまで易々と突破させるのか…儂にも理解できぬな」
「そうですか…ちなみに白の大広間と玉座の間は、大軍を持って侵攻出来そうですか?」
「いや。城内はいざという事を考え、大軍の動きが制限されるような造りになっている。少数精鋭で攻め込む方がいいだろう」
「となると、各部隊長クラスをメインに選考した方が良さそうですね」
「うむ、それが良いと思う」
 その後、四方の門をそれぞれ制圧し、上空には竜騎士や天馬騎士が攻めてきたときに備え、城壁に弓兵隊を配備し、天馬騎士団の一部も上空で見張りを行うことになった。

「私とデュッセル将軍で選考した結果、このメンバーで城内へ行こうと思います」
 メンバーはエフラム王子、ラーチェル王女、ゼト将軍、ナターシャ、カイル、ルーテ、ネイミー、コーマ、デュッセル将軍、マリカ、ユアン、ガルシアという面子であった。
「そうだな、前衛と後方支援が旨く別れている。これでいいだろう」
 エフラム王子は納得して頷いた。
「では、フォルデ。後をお願いします。もし敵が攻めてきた場合はターナ王女やガルシア殿と相談して、迎撃するか守るかを決めて下さい」
「ああ、わかったよ。とっとと片付けてルネスに戻ろうや。早く休みが欲しいんでね」
 フォルデの軽口に、突入メンバー全員が笑った。

 最終決戦の地であるグラド本城。待ち受けるのは戦争を起こした元凶である皇帝ヴィガルドと親衛隊。エフラム達はただ早期に終わらせるため、振り向くことなく突入した。
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2007.10.27 11:02 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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