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トワイライトの怠惰な図書室

ここは、トワイライトが書きつづった小説をメインに載せていくblogです。無断転用やお持ち帰り等は全て厳禁です!

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 ファイアーエムブレム聖魔の光石 カイル×ルーテSS第17弾。寝起きの賢者は、かなり大胆?

眠りの園の賢者

「ん… あ、おはようございます」
 実に気持ちよく目を覚ましたルーテは、先に目を覚ましていたと思われるカイルに声をかける。しかし、カイルの目が充血している事に気がついた。
「どうしたのですか? 目が真っ赤ですよ」
「あ、ああ… 夕べはどうも眠れなくてな」
 眠りたくても眠れなかったとは流石にいえなかった。そんな言葉に、ルーテは酷く心配そうに見つめる。
「大丈夫ですか?」
「う、うむ」
「また魔族が襲いかかってくる事がなければ、明日の午前中までは休養を取っても大丈夫だと思います。今日はもう少し休みましょう」
 そういって、ルーテは再び布団をかぶると二度寝を始めた。その寝顔は実に幸せそうだ。対照的にカイルの表情は困惑していた。
「この寝顔が見られるのは幸せだが、どうしたらいいのだろうか…」

 2時間後。二人とも些か空腹になって来た為、食堂へ足を運んだ。殆どのものが既に朝食を済ませていたのか、食堂にいたのはフォルデだけであった。
「よう、カイル」
「おはよう」
「んん… 目が真っ赤だぞ。さては」
 実に意味ありげな笑みを浮かべるフォルデに、カイルは心底嫌な表情を浮かべる。
「お前が考えているような事は何もない」
「ほんとかねぇ」
 二人の会話について行けないルーテは、先に二人分の朝食を用意していた。
「婚約者と一晩一緒の部屋だったんだぜ。そりゃ、何もなかったと考える方がおかしいだろう?」
「そう考えるのはお前だけだ」
「またまたー」
「二人はいったい何のお話をしているのですか?」
 心底不思議そうに訪ねるルーテに、カイルは顔を赤らめ、フォルデはにやりと笑う。
「君がこいつと一緒に寝たんじゃないかって疑ってるのさ」
「ええ、寝ましたけど」
 どうやら寝るという意味を、純粋な睡眠の方と捉えたルーテはそう答えた。その言葉に、フォルデはこれ以上ない笑みを浮かべる。
「ほらみろ」
「違う! 一緒にベットを使っただけだ。いうなれば添い寝してもらった感じだ」
「ふーん… 本当かい、ルーテ嬢?」
 意味深な視線を受けながらもルーテは生真面目に答える。
「その通りです」
「なーんだ、つまらない」
「お前な…」
「先ほどからのお話を聞いていると、私とカイルが寝る事に何か別の意味があるのでしょうか?」
 その言葉に、カイルとフォルデは目を見開くが、やがてフォルデは爆笑した。
「? 何がおかしいのですか」
「だっ、だってよ…くくくくく」
 そんなフォルデに、嫌な視線を向けるカイル。
「ちゃんと教えてやれよ、カイル」
「………」
「カイル、説明してもらえますか?」
「この質問の答えは、戦争終結後まで保留してもらえないか?」
「なぜですか?」
 こんなやりとりに、まずまず爆笑するフォルデ。
「とりあえず食事を持って部屋に戻ろう。こいつがいるとゆっくり食事も出来ないようだ」
「わかりました」
 そういって二人は朝食を持って部屋に戻った。しばらく後ろから笑い声が聞こえてはいたが。

「カイル、先ほどの意味を教えてもらえますか?」
 朝食を済ませ、カイルの淹れた紅茶を飲んでいる所に、ルーテの声が上がった。
「流石に今答えては、我々には何かと支障きたすのだ」
「そうなんですか?」
「ああ」
 我ながら狡い回答だと思いながらも、そう答えるしかなかった。
「貴方がそういうなら、きっと正しいのでしょう」
「すまないな」
「いえ、構いません」
 それからたわいのない話しを続けている所に、ノックが響いた。
「カイル様、いらっしゃいますか?」
 ドアを開けると、そこにはカイルの副長がいた。副長は同じ部屋にルーテ居る事に気づいたが、二人の関係をそれとなく察している副長は、特に何を言うでもなく敬礼した。
「どうした?」
「は。衛生部隊統括のナターシャ殿より、後軍の船に重傷者を運び込む為、手伝いをお願いしたいとの事です」
「もう追いついたのですか?」
 ルーテの声に、副長は生真面目に答える。
「は。こちらの状況を伝えに向かった天馬騎士の話を聞き、急ぎこちらへ向かったとの事でした」
「解った。用意を済ませてから上に上がる。先に部隊を集めておいてくれ」
「は!」
 副長は敬礼を返し、急ぎ甲板へ向かった。
「どうやら、休暇は取れそうにないな」
「そうですね、残念です」
 二人は急ぎ用意を済ませ甲板に上がった。既に甲板は物資や負傷者の運び込み、兵士の補充などで慌ただしくなっていた。

「ガルシア殿、デュッセル将軍」
 今回一番被害の多かった部隊の長が、互いに補充について話しをしていた。
「おお、ルーテ軍師」
「兵の補充はどうですか?」
「うむ。互いの部隊にそれぞれ後軍の全兵力の七割を割く事にした。天馬騎士などは補充するのが難しいが、他の部隊に関しては残りの三割でどうにかなるようだ」
「確かに天馬騎士は特別な訓練を要しますから、一中一夜では無理ですね」
「後は実践で訓練を兼ねるしかないのが厳しい所だな」
 ガルシアの言葉に、デュッセル将軍も頷く。
「今回お二人の部隊は支援と防衛がメインです。状況に合わせて指示してあげて下さい」
「承知した」
 ルーテは次に物資の確認に向かった。カイルは負傷兵の運び込みの指示をしていた。

「物資はどうですか?」
 ベスロン港でも話しをした補給隊長に声をかける。隊長は一つ敬礼を返す。
「これはルーテ様。はい、物資に関しては医療品以外それほど補充を必要としなくて済みそうです」
「では、引き続きお願いします」
「は!」
 二つを確認したルーテは、最後に負傷兵の運び込みを確認した。既に大半の重傷者は運び終わっていたらしく、既に渡し板の辺りは閑散としていた。
「カイル」
「ああ、ルーテ。ちょうど今重傷者の移送が終わった所だ。物資の移送も先に終わっているので、後は船をベスロン港に戻すだけだな」
「そうですか。じゃあ、船はもう戻って貰って良いと思います」
「解った。 船長!後は頼むぞ!」
 カイルの声に、船長は片手を上げ、やがてゆっくりと船はベスロン港へ向かっていった。
「どうやらお昼前には終わったようですね」
「うむ。では、昼食に向かうか」
 そういって食堂へ向かおうとしたとき、鈴の鳴るような声が響いた。
「あら、カイル将軍とルーテ殿ではありませんか?」
 振り返ると、そこには癒しの杖を手にしたラーチェルの姿があった。
「これはラーチェル様」
「お疲れ様です、ラーチェル王女」
 その声ににこりと微笑む。誰もを魅了するような微笑みであるが、あいにくとカイルはルーテ一筋なので対して意味がないが。
「先ほど、負傷兵の治療は終わりました。後はタイゼル港に着くのを待つだけですわね」
「ラーチェル様。この度はご助力、感謝しております」
 カイルの生真面目な言葉に、ラーチェルは微笑みながら首を振る。
「いいえ、グラド帝国は全世界に戦争を起こした大罪国です。悪しきものと戦うのは、私の使命であり、当然の行いですわ。ですから、どうか傷を負ったときなどは、遠慮無く声をかけて下さいませ」
「ありがとうございます!」
「こちらこそ、宜しくお願いしますわ。所で、ルーテ殿」
「ルーテで結構です、ラーチェル王女」
「ならルーテ。これから、軍の女性達と親睦を深める為に昼食を一緒にと思っているのですが、いかがです?」
 その言葉に、ルーテはカイルに振り返る。カイルは無言で頷いた。
「たまには女性だけで食事をするのも良いのではないか?」
「貴方がそういうなら、そうします」
「では、行きましょう。楽しみですわ」
 そういって、ルーテはラーチェルと共に他の女性にも声をかけるべく向かっていった。
「ちょうどよい。昼食を済ませたら少し横になろう」
 そういって、カイルは手早く昼食を済ませ、宛がわれた部屋で睡眠を取った。

「しかし、こうして知り合えるのも何かの縁ですわね」
 食堂の一角に、華々しい女性陣達の昼食会が催されていた。誰もがかなりの美少女ばかりに、多くの兵士達の視線が集まる。
「そうですね。戦争は確かに反対ですけど、戦争がなければ知り合う事どころか、名前さえ聞くことが無かったかも知れないですね」
 アメリアがラーチェルの言葉に相づちを打つ。最初アメリアとネイミーは、ラーチェルやターナといった王族達と共に食事をするなどと言うことに恐縮していたが、二人共に大らかな性格のため、そんな身分など気にせず、同じ年頃の女の子として付き合って欲しいと望んだ。そんな二人に感銘を受け、二人共に食事会に参加することになった。
「しかしヴァネッサ。傷の方はもう大丈夫なのですか?」
 未だに額や腕などに包帯を巻く姿に、ルーテが声をかける。ヴァネッサは一つ微笑んだ。
「ええ。傷口は殆どふさがっているから」
「大変でしたねー」
 痛々しい姿のヴァネッサに、ネイミーが気遣いの声をかける。
「しかし、ラーチェル様が来て頂いたお陰で、とても助かります」
 ナターシャが優雅にお茶を飲むラーチェルに声をかける。
「いいえナターシャ殿。それが杖魔法を使えるものとして、当然のことですわ」
「私ももっと精進しなくてはいけませんね。これからも宜しくお願いします」
「こちらこそ」
「時にターナ王女。最近クーガーはどうですか?」
 既にデザートへと移っていたターナにルーテの声がかかる。突然のことにスプーンを加えたまま顔を上げる。
「え?」
「ターナ王女、お行儀悪いですわ」
 ラーチェルの声に、慌ててスプーンを置く。
「ごめんなさい。えっと、クーガーがどうしたの?」
「いえ。貴女の副官になってからどうなのかと思いまして」
「クーガーは真面目で寡黙な人よ。何、まだ疑ってるの?」
 その言葉に、ルーテはお茶を一口すする。
「彼とは直接命のやりとりをした間柄です。まして一歩間違えればカイルは死んでいたかも知れません。そう考えると、なかなか素直に認めることが難しいようです」
「もう…大丈夫よ」
「ならいいのですが…」
 そんなやりとりの中、ラーチェルが急に思い立ったかのように声を上げる。
「そういえば、ルーテとカイル将軍はいつも一緒にいらっしゃるのですね」
「ええ。部隊長と副官という立場ですから」
 その言葉に、他の女性陣が色めき立つ。やはり年頃の女性はこういった話しが好きなようだ。
「でも、その関係だけにしては親しすぎるよね。ルーテとカイル様」
「前のベスロン港での宴会の時だって、ルーテにその事を聞いてたら、カイル将軍が慌てて来たし」
「本当のこと言いなさいよ、ルーテ」
 きゃあきゃあと騒ぐ中、何となく居心地が悪くなり始めたルーテは、どうにか別の話に持って行くことを考え、ふいにナターシャの姿を見て呟いた。
「私たちの関係はそれ以上お答えできません。それより、ナターシャ殿もゼト将軍とご一緒のことが多いようですが?」
 突然話を振られ、内容が内容だけに顔を真っ赤にするナターシャ。その顔に、他の女性陣も食いつく。
「そうよね! ナターシャさんもゼト将軍と仲良いわよね」
「なんていうのかな、いつも側にいて当たり前っていうか、さも自然な感じがするのよ」
「真銀の聖騎士と癒しの精… なんかロマンスよね~」
「あ、う、その… あの…」
 職業故に嘘をつくわけにはいかない。しかし、答えることも恥ずかしいという葛藤にかられているが、その表情が何よりも雄弁に物語っている。しかし、最後の方で遂にナターシャの口から真実が明らかにされた。
「はい… ゼト様とは、その、親しくさせて頂いております」
 ぎりぎり聞き取れるぐらいの小さな声だったが、他のメンバーは満足そうだった。
「やっぱりねー」
「いいなー 私も恋人が欲しいなー」
 ネイミーのつぶやきに、隣にいたアメリアが呆れたように声を上げる。
「なにいってんのよネイミー。貴女にはコーマがいるでしょう?」
「ええ! いや、コーマとはその… そ、そういうアメリアだって、最近フランツ様と仲が良いって聞いたよ!」
「ふ、フランツさんとはライバル関係だよ! こ、恋人関係だなんて、そんな…」
「ヴァネッサは、フォルデ将軍みたいな人がいいのよね~」
「た、ターナ様! 別にフォルデとはそんな関係ではありません! たまたま知り合っただけです!」
「あれ~ いつの間にか呼び捨てにする仲になったんだ~」
「!? あう…」
「いいじゃない、フォルデ将軍かっこいいし。平時はちょっと抜けてるかなって所があるけど、貴女みたいな真面目な人にはちょうどいいわよ」
「そ、そんな事は… た、ターナ様も最近クーガー殿とお二人だけの時は、ずいぶんとお気を許しているようですが?」
 普段なら主君にこんなことは言わないだろうが、場の流れ故にヴァネッサの口から衝撃発言が飛び出した。しかし、ターナ王女は余裕の笑みを浮かべていた。
「うん。クーガーかっこいいし、凄く優しいもの。まだ恋人同士って訳じゃないけど、いつかそんな関係になれたいいなって思ってるわ」
 良くも悪くも大らかな天空の王女に、ヴァネッサを初め、他の女性陣もある意味羨ましく思い、心の中でこう思った。
(私も、もうちょっとアピールしてみようかな…)
「ふふ。今日は大変有意義な昼食会でしたわ。出来れば今後もこういった場を持ちたいですわ」
 身分を超えて友人となった7人の昼食会は、こうして幕を閉じた。

「カイル …寝ているのですか?」
 部屋に戻ってくると、カイルは後眠を取っている最中であった。気持ちよさそうな寝顔と寝息を上げている。ルーテはその寝顔を見ると、なんだか幸せな気持ちになってきた。
「いつも生真面目なカイルとは思えない、あどけない寝顔ですね。このままゆっくり寝かせてあげた方が良さそうです」
 そういって、手近な椅子を引き寄せ、ベスロン港で仕入れていた本を取り出した。窓から降り注ぐ午後の暖かい日差しが実に心地よい。しかし幾ページも読まないうちに、ルーテ自身もうとうとし始めた。
「…いけません。私も少し眠くなってきたようです」
 そういうと、躊躇うことなく睡眠中のカイルのベットに潜り込んだ。再び彼の胸に顔を寄せると、そのままルーテも夢の世界に旅立った。

「ん… ずいぶん長い時間寝てしま… たたたたたぁ!」
 後眠から目を覚まし、最初に飛び込んできたのは、横で一緒に寝ているルーテの姿だった。その声にも気づかず、ルーテはまだ気持ちよさそうに寝ていた。
「な、なぜルーテが… 確か一人で寝ていたはずだったが」
「おい、どうしたんだ? 素っ頓狂な声を上げて… って、おおっとお邪魔だったか」
 隣の部屋にいたフォルデが、カイルのおかしな声を聞いて怪訝に思い部屋に入ったが、その光景を見て即座に回れ右する。
「フォルデ! 違う!誤解だ!」
「解ってるって! 誰にも言わないよ」
「全然解ってないだろ、お前!」
「…ん~」
 ルーテが男二人のやり取りの声で目を覚ますが、寝起きなのか視線がぼーっとしている。
「ルーテ、すまない。起こしてしまったか?」
「ふにゅ~」
 ぼすっ 普段の彼女からはとうていあり得ない声と共に、ルーテはカイルを抱き枕か何かと勘違いしているのか、彼を抱きしめながら再び眠り込んでしまった。
「!?」
「おーおー お熱いこって」
「る、ルーテ!?」
「じゃあな」
 そういってフォルデは部屋を後にした。残されたカイルは抱きしめられている為に動くことも出来ず、ただそのまま彼女が起きるのを待つしかなかった。
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2007.07.17 02:14 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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