FC2ブログ

トワイライトの怠惰な図書室

ここは、トワイライトが書きつづった小説をメインに載せていくblogです。無断転用やお持ち帰り等は全て厳禁です!

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- --:-- | スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |
ファイアーエムブレム聖魔の光石 カイル×ルーテSS第六弾。知恵者の前に、要塞など砂の城と同じ。

難攻不落の大要塞

 あと少しすれば日が昇るであろう時間。精鋭部隊達はリグバルド要塞の後方に待機していた。既に城壁に爆弾が仕掛けられ、あとは着火を待つのみである。
「しかしゼト将軍。なんだって今回の作戦に、あのカイルの名前が無かったんですかね」
 ゼト将軍の隣で合図を待っているフォルデは、昨夜の疑問を口にしていた。カイルは今回の作戦で突撃を担う適任者であった。自分はどちらかといえば守りが得意だが、攻めに関してはカイルに一日の長がある。
「今回の作戦で、ルーテ殿には後方で作戦指示をお願いしている。その為、カイルに彼女の護衛をして貰う事になった」
「護衛ですか? わざわざカイルが」
 彼女は魔術師なので、詠唱中は無防備になる。そういう意味では確かに護衛は必要と思われるが、今回は後方での作戦指示ならば、兵士が4、5人いれば事は足りる。主戦力であるカイルの役目とは思えない。最も、フォルデ達はカイルとルーテが戦場ではパートナーとして常に側にいる約束をしていることを大半のものが知らない。今回の護衛の件は、そういった約束のこともあるのだ。
「そろそろ時間だな。フランツ、準備はいいか?」
 ゼトが、うっすらと山裾から差し込んできた朝日に目を細めながら、後ろに控えていたフランツに声をかける。
「はい、いつでもいけます」
 既に要塞の正門前に、エフラム王子以下、部隊の大半が敵兵の目を引きつけ、砦内はにわかに慌ただしくなっている。
「よし、始めるぞ」
 ゼト将軍の合図で、フランツは札を破った。その瞬間、目を覆うばかりの閃光と爆音が辺りを駆けめぐり、城壁は粉々に砕け散った。
「すっげぇ… 粉々だよ」
「なんだなんだ、今のは!」
「な、何か化け物でも出たのか!」
「行くぞ、遅れるなよ!」
 ゼト将軍が銀の槍を振り上げ、混乱する要塞内に突撃した。フォルデとフランツらも槍を握りしめ後に続く。

「どうやら始まったようですね」
 望遠鏡でリグバルド要塞を眺めていたルーテは、先ほどの爆音と閃光でまず第一作戦が成功したことを確認した。彼女は護衛のカイルと二人、砦から少し離れた小高い丘の上で状況を見ていた。
「あとはエフラム様が正面門を突破し、なだれこむだけだな」
「はい」
 そう返事を返しながら、ルーテはカイルがいれた紅茶のカップを受け取った。

 そうこうしている内に、正面門に待機していたエフラム王子も突撃し、要塞内は大混乱に陥っていた。後方から突撃したゼト将軍達は、優先して隊長格の兵士達を倒し、指揮系統を破壊。指揮が乱れているところに、正面から突撃したエフラム王子達が、混乱する兵士達を次々となぎ倒していった。
「ふう、大方片付いてきたな。後は司令室だけだな」
 辺りを見回しながら、エフラムは槍を握り治した。ほとんどの兵士は投降し、残ったわずかな兵士達も、既にゼト将軍らが打ち倒していた。
「エフラム様。後は指揮官のみと思われます」
 前線で指揮をしていたゼト将軍の言葉に、エフラムは無言でうなずいた。
「解った。後は俺が片付ける」
「は。それと、先ほど牢に捕まっていたものの中に…」
「エフラム!」
 ゼトの報告を遮るように響いたのは、ここに居るはずのないフレリア王女の声だった。
「タ、ターナ! どうして君がここにいる」
「私、エフラムを助けたくてみんなの後を追ってきたの。だけど途中で敵に」
「あきれたな… とにかくここは危険だ。ゼト、数人の護衛兵をつけてターナをフレリアに送り届ける手配を…」
「いやよ! エフラムもエイリークも危険な役目を背負っているのに、私だけ何もしないなんてできないわ!」
 エフラムの言葉を遮り、瞳に涙を浮かべながらも、強い口調で言い切った。
「ターナ…」
「お願い!エフラム!!」
「…仕方ないな。だが、ついて来る以上、今回のような勝手は許さないからな」
「ありがとう! エフラム」
 ターナは喜びの余りエフラムに抱きつくと、そのまま彼と共に前線に向かっていった。

「あの、ゼト将軍」
 やれやれと先ほどの状況を見ていたゼト将軍は、後ろから聞こえてきたフランツの声に振り返った。彼の隣には敵兵と思わしき少女が居た。
「どうした、フランツ」
「はい。彼女なんですが、今回の戦争に反対しているデュッセル将軍の支持者らしく、不当な扱いを受けていたものですから」
 少女は怯えたような目で、フランツの背中からゼトを見ていた。
「ふむ、既に戦いの大半は終了している。投降してきたのなら別に手荒なまねをするつもりはない。代わりに後でいくつか話を聞かせて貰うかも知れないので、それまではフランツに身柄を預けよう」
「はい、解りました。行こう、アメリア」
「う、うん…」
 そういって、フランツは後ろにアメリアを乗せ、後方支援部隊に向かっていった。
「さて、私も前線に向かうか。フォルデ、後方の指揮は任せたぞ」
「了解です、ゼト将軍」
 傍らにいたフォルデに指揮を預けると、ゼトもエフラムの後を追った。しかし、ゼトが司令室に入ったとき、既に敵将はエフラムの槍に突かれ、絶命していた。

「どうやら終了したようです。後方支援部隊に、捕虜と思われる敵兵達が次々と現れています」
 カイルと二人で昼食を取りながら、ルーテは覗いていた望遠鏡を見ながら状況を説明した。カイルは最後のサンドイッチをほおばると、一気に紅茶で流し込みながらうなずいた。
「そうか。では、我々も行くとしよう…しかし」
「…その前に、食後の運動をしないといけないようですね」
 そういって振り向いた先に、脱走兵と思われる数人のグラド兵達が現れた。
「このままグラドに戻っても、俺たちは脱走兵として殺されるだけだ」
「だからお前らの金目のものを奪って、姿をくらませて貰うぜ」
 そういって、数人の兵士達は抜刀して襲いかかってきた。しかし、たかが一兵卒が、騎士であるカイルにかなうはずはなく、ルーテの魔法を使うこともなく、脱走兵達は次々とカイルの槍に突かれていった。
「哀れなものですね、こうなると」
 ルーテは転がる敵兵の死体を身ながらつぶやいた。
「我々もいつこうなるか解らない。注意せねばな」
 そういって背を向けた二人に、近くの茂みに隠れていた脱走兵が襲いかかってきた。
「死ねっ!」
「しまっ…」
 カイルはせめてルーテだけは守らねばと、身を盾にして彼女の前に立ったが、後ろから彼女の声が響いた。
「雷よ」
 声とほぼ同時に、天より雷が落ち、敵兵は黒こげになって地面に倒れた。彼女の手には前に持っていた赤い魔導書ではなく、真新しい黄色い魔導書が握られていた。
「すまない、ルーテ。私が油断していた」
 周囲にもう敵の気配がないことを確認すると、カイルはその場に座り込んだ。ルーテもそれに習って隣に腰を下ろす。
「いえ、あなたが私を守ってくれるように、私もあなたを守ります。セレフィユの街で約束しましたから」
「ありがとう、ルーテ」
 そういってカイルは乱れてしまったルーテの髪を手ぐしで溶かしながら微笑んだ。ルーテは手ぐしで髪を解かれる感触が心地よいのか、そのままされるがままになっていた。
「さあ行こう」
「はい」
 カイルの後ろに捕まると、カイルはゆっくりと馬を走らせた。これが、エフラム部隊の軍師として、魔術師とは別の高名をあげていくルーテの華々しい初戦であった。
スポンサーサイト
2007.07.11 06:34 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(0) |












管理者にだけ表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。