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トワイライトの怠惰な図書室

ここは、トワイライトが書きつづった小説をメインに載せていくblogです。無断転用やお持ち帰り等は全て厳禁です!

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 ファイアーエムブレム聖魔の光石 カイル×ルーテSS第四弾。叡智持つ彼女もまた、年相応な少女である。

知識無き感情

 エイリーク様やヒーニアス王子達がそれぞれの国へ出発した翌日、いよいよエフラム様の号令の元、我々もグラド城へ向けて進軍を開始した。当初、エフラム様はフレリア軍の一団を借りて進軍する予定であったが、エイリーク様のお心遣いで、エイリーク様と共にいたゼト将軍やフランツ、途中仲間になった面々が同行する事となった。一昨日の話は意味がなかったと言う事は、言うまでもない。

「リグバルド要塞には、どれくらいかかるのですか?」
「そうだな… この進軍速度なら明日の夕方になると思う」
 自分の愛馬の後ろに乗っていたルーテは、本に視線を落としながら訪ねてきた。
「となると、作戦は明日の深夜となりますね?」
「君の先日の立案通りなら、そうなるな。しかし、到着直後ではみんな疲れていると思うが…」
「それは考慮の範囲内です。どのみち、本格的な戦闘はおそらく翌朝だと思いますから」
 あくまで冷静に話を進めるルーテ。彼女は緊張とか恐怖とは無縁なのではないかと、ふとそんな事を考えてしまう自分が居る。そんな事を考えながら、周りを見渡せば、一件軍隊であるという事をわすれてしまいそうな面々である。ゼト将軍やフランツなどはともかく、ラク村出身の弓使いと盗賊、ルーテの幼なじみという修道士やジャハナ出身の剣士、グラドから亡命したシスター。またフレリア軍から派遣された神官や重騎士、天馬騎士など… 実に豊富な職業で構成された軍である。しかし、今回の行軍は本来の戦とはかけ離れたものである事は間違いないので、こういった統一された軍より良いのかも知れない。まあ、ルーテもその一人であるが。
「どうかしたのですか、カイル?」
 そんな様子に気付いたルーテが声をかけてきた。
「いや、この中で何人が無事に生還できるのかな…と思ってな」
「現在の戦力で全員生還出来る可能性は20%ぐらいですが、今後のエフラム王子の作戦と指揮で、限りなく100%に近づける事は可能だと思います」
「それは、君の知略を計算に入れて…かな?」
 彼女の回答は解っているが、あえて聞かずにはいられない。そして、ルーテの回答はいつも一緒だ。
「私、優秀ですから」

「さて、みんな。これからリグバルド要塞攻略の作戦を説明する」
 その日の夜、リグバルド要塞の手前にある小さな村で一泊する事となった我々は、全員が揃った食堂でエフラム様の説明を聞く事になった。エフラム様の隣には、私とルーテがあらかじめ呼ばれていた。
「今回の作戦を考案したのは彼女なので、説明は彼女にして貰おうと思う。ルーテ、頼む」
 そういって一番大きなテーブルに見取り図が開かれ、全員がそれを囲んだ。
「では説明します。質問は随時受けますので遠慮無く挙手願います。まず中央門に残留して相手の注意を引きつける部隊と、砦の裏に回ってあるものを仕掛ける部隊に分けます。中央門の指揮はエフラム王子にお願いし、仕掛ける部隊の指揮はゼト将軍にお願いしたいと思います」
 ルーテが手に持った細長い棒でそれぞれの場所を指しながら説明する。そこでゼト将軍の挙手が上がった。
「ルーテ殿。あるものというのは何か?」
 その言葉に、ルーテは自分に目配せし、それに併せて自分は机の上に無数の黒い玉を置いた。その玉からは一本の線が出ていた。そしてその玉を見た修道士のアスレイは、真っ青になっていた。
「どうかしたのか、アスレイ?」
 隣にいた剣士のヨシュアが、気遣う様にそう言うと、彼は震える声で話し始めた。
「それは、爆弾じゃないですか… いつ作ったんですか、ルーテさん!」
「フレリア城にいたとき、資材を分けてもらい作りました」
 いともたやすくそういう彼女に、全員の頭上に?マークが浮かんでいた。爆弾の事を知っているのは、先日説明を受けた私とエフラム様、それと彼女をよく知るアスレイだけの様だ。
「簡単に言いますと、その玉に火を付けると、エルファイアーの数十倍の爆炎が起こるというものです。これを砦の裏に仕掛けて貰い、砦の後方…つまり、最も城壁が薄い場所にしかけ、そちらから城内へなだれ込みます。中央門に大半の敵兵士を集め砦内の兵力を減らし、後方から精鋭部隊が突入、砦内が混乱した所へ中央門の部隊が突入するという作戦になります」
 全員が説明が終わった後絶句していた。まさか城壁を破壊するなどと言う作戦は、今までの戦略史には存在していない。爆弾というものですら、ルーテが昔読んだ本を元に作ったものなのだから、無理もない。そんな中、今度はフランツの挙手が上がった。
「ルーテさん。肝心の着火はどうするのですか?」
「それは、これを使います」
 そういって彼女の懐から出されたのは、炎の絵が描いてある一枚の札と紅い宝珠であった。
「これは、ファイアーの魔法が一回使用できる様施してある魔宝珠です。この宝珠を爆弾と一緒に置いて貰い、爆発に巻き込まれない位置まで離れましたら、この札を破って下さい。それで宝珠が炎を出しますので、着火出来るという訳です」
「はあ、これがですか…」
 フランツはそういって、しげしげと魔宝珠と札を見ていた。その後、ルーテによってメンバーの名前が上がる。仕掛ける工作部隊はゼト将軍、フランツ、フォルデ。そして身の軽いコーマと切り込み隊長としてヨシュアが選ばれた。念のため、モルダ神官も同行してはどうかという意見が上がり、彼の名前も加えられた。
「以上です。質問はありますか?」
 全員、先程のメンバー分けで一つだけ疑問があったが、あえて口にする事はなかった。その後、ルーテの言葉に返答はなく、説明会は解散となった。その後、エフラム王子とゼト将軍、ルーテの三人による詰めの打ち合わせが始まり、最終的に終わったのは月が天頂に差し掛かる当たりであった。

「ルーテ。終わったのか」
「はい、今終わりました」
 食堂から出てきたルーテは、些か疲労している様に感じた。言葉はいつもの余り感情がこもっていない感じだが、声質に疲労の色があった。
「…流石の君も、些か疲れたか」
「…どうして解るのですか?」
「そうだな…」
 カイルはその言葉に優しく微笑むと、彼女の頬に片手を添え言葉を繋げた。
「いつも側にいるから…かな」
「そう、ですか」
 ルーテはどうして自分がこんなに心拍数が上がり、顔が真っ赤になってしまうのか疑問に思ったが、少なくも嫌な気分ではないので、そのままされるがままになっていた。当のカイルは深夜という事もあり、彼女の真っ赤な顔をしっかりと見る事がなかった。
(ど、どうしてカイルに手を添えられて微笑みを向けられているだけで、こんなに心拍数が上昇するのでしょうか…さ、さっそく後で調べなくては)
「さあ、もう遅い。明日も早朝に出発するから早く休んだ方が良い。おやすみ」
「お、おやすみなさい…」
 カイルは彼女の部屋の前でそういって背を向けた。今のルーテの頭の中は、先程の理解不明な心拍数上昇と、顔の火照りの解明であったとか。
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2007.07.08 18:07 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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