トワイライトの怠惰な図書室

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 スターオーシャン3フェイマリ小説。血を分けた兄妹であったとしても、感じる気持ちが兄妹のそれではないなら、愛することも許されるのではないか?
「ほらフェイト。危ないから動かないで」
「でも、何だかくすぐったくて」
 ディプロのマリア私室。彼女が今一緒にいるのは、彼女が唯一人愛した蒼い髪の少年である。マリアは彼を膝の上に載せて、耳掃除をしている最中であった。
「ほら、もう少しだから」
「う、うん」
「さ、これで終わりよ」
そういって、彼の耳にふっと勢いよく息を吹きかけた。
「うひゃ」
「さ、今度は左耳ね。頭の向きを変えて」
「うん」
 そういって、フェイトは左耳を上にした。そのままマリアはフェイトの左耳を掃除し始めた。

 二人は今、幸せな時間を過ごしていると肌身で感じていた。こうして毎日、二人の気持ちを余す事なく感じられるこの時間が、何よりも幸せだと。たとえそれが、許されざる罪科の十字架を背負う事になろうとも。
 シランド城で二人は出会い、同じ目的を目指して旅をしていく間に、二人の間には静かに、しかし確かにお互いを愛する気持ちが芽生えていた。しかし、その気持ちを一瞬でうち崩す事実が二人を打ちつけた。

「被験者には、私たちの子供を使うことにしました・・・」

 ロキシ博士の話しは、メンバー全員を驚愕させるだけの勢いがあった中、この言葉は、その中でも二人に絶望にも等しい衝撃を与えた。マリアは、ネルとクリフがアーリグリフに協力を要請する為に出かけた後、自分の過去をフェイトに話した。そしてそのとき、自分は本当の両親だと思っていたトレイター博士に、「自分は本当の母親ではない、あなたの本当の両親は他にいる」と言われた事。そして今語られたロキシ博士の言葉、「自分たちの子供を被験者に使う」。ここから符合される答えはたった一つしかなかった。そして皮肉にも、自分が愛する人と同じ色を持っていると喜んでいた髪がその何よりの証拠となり得るのである。しかし、この時はメンバーは今まで語られてきた事実に驚きこの事を気にすることはなかったのが、二人にとって不幸中の幸いではあったが。
 特殊紋章を体内に刻まれ、望まざる強大な力を持って生まれた二人。そして互いにその事実を解りあい、生涯を共に誓った人が、血の繋がった兄妹だという事実は、今までのどんな事よりも絶望を与えた。それから二人は、ディプロに戻ってからというもの、どこか一線を引いて互いに接するようになった。今までは他人の目も憚らない程の寄り添い、キスさえ見せつける様にしていた二人がである。

「おい、フェイト。ちょっといいか」
 食事が終わった後、クリフは部屋に戻ろうとしていたフェイトを呼び止めた。
「なに?」
「またマリアと喧嘩したのか、おまえ」
 相変わらず直球ストレートに聞いてくるクリフに、フェイトは苦笑を浮かべた。
「それならまだ、いいんだけどね・・・」
「? フェイト?」
「ごめん。ちょっと疲れてるんだ」
 そういって早足で自分の宛われた部屋に戻ろうとするフェイトに、クリフは後ろから呼び止める。
「何があったが知らねぇが、マリアを泣かすなよ。好きな子を泣かすのは、男として最低だからな」
 その言葉に、フェイトは片手を上げて答えただけであった。

「マリア、ちょっといいですか?」
 こちらはマリア私室。訪ねてきたのは、クォークのメンバーの中でも古株であるミラージュであった。
「なに、ミラージュ。貴女から訪ねてくるなんて珍しいわね」
 マリアはミラージュにティーカップを差し出しながらそういうと、ミラージュは笑顔を崩さす要点を述べた。
「単刀直入に聞きます。マリア、フェイトさんと何かあったんですか?ラインゴット研究所から戻って来てから、二人とも変ですよ」
「・・・・・」
 マリアは自分のカップに視線を落としたまま、何も答えなかった。ミラージュは根気よくマリアの返事を待ったが、自分に注がれたお茶が無くなっても答える様子が無いことに、一つため息をつくとそのままマリアの部屋をでていってしまった。

「僕は、いったいどうしたらいいんだ・・・」
 ディプロ展望室で、フェイトは星々を眺めながら、苦悩の表情を浮かべていた。自分はマリアを心から愛している。それだけは何があっても変わらない。だけど、いくら知らなかったからとはいえ、自分が愛した少女は、よりにもよって血を分けた妹だったのである。この気持ちを消すことは絶対にできない。ならば、自分はどうしたらいいのか。永遠に答えの出ない方程式に、フェイトは苦悩だけを浮かべていた。
「フェイト・・・」
 苦悩の最中、自分に声をかけたのは、他ならぬマリアであった。マリアもまた、悲しげな表情を浮かべていた。
「マリア・・・」
「あの時の話しを考えていたんでしょう?」
 自分の横に腰を下ろすと、マリアは遠い目をしながら話し始めた。
「皮肉よね。私が唯一自分を理解し、愛してくれると思った人が、よりにもよって血を分けた兄だったなんて・・・この気持ちは、絶対に間違いないといえるのに」
 マリアの瞳から涙がこぼれ落ちる。そんなマリアを、フェイトは優しく抱きしめ、その愛おしげな唇に一つキスをした。
「フェイト」
「マリア。僕は君を心から愛してる。たとえ君が妹だったとしても、僕はマリア・トレイターという一人の少女を愛し、生涯を共にしようと誓った。それが許されざる禁忌の想いだというのなら、その罪科を背負って生きていく・・・初めから悩むことは何もなかった。君が側にいてくれることが、僕の全てなんだから」
 自分の気持ちを精一杯話してくれるフェイトに、マリアはさらに瞳から涙がこぼれた。
「私もあなたが、あなたの事だけを愛している。たとえあなたが兄だとしても、私もまたフェイト・ラインゴットという一人の少年を愛した。罪科の十字架はあなただけに背負わせない。私もあなたと共に背負っていくから。たとえ、その道が荊の道であっても」
 二人は互いにもう一度抱き合い、今まで最も深いキスを交わした。互いの想いが罪科だとしても、互いを愛するこの気持ちに、偽りが無いことを信じるために。
「今日は離れたくないの。今夜は一緒にいて・・・お願い」
「マリア、僕だって離れたくない」
 そういって、二人はマリアの部屋に入っていった。その夜、互いに肌を重ね合い、互いの気持ちの全てを分かり合えた二人は、今までと同じように過ごすようになった。

「? どうしたのマリア」
 自分の耳掃除をしながら微笑みを崩さないマリアに、フェイトは不思議に思った。
「ん? なんでもないわよ、フェイト。ただ、あなたとこうして居られることが幸せだと思ったのよ」
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2007.06.09 15:29 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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