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トワイライトの怠惰な図書室

ここは、トワイライトが書きつづった小説をメインに載せていくblogです。無断転用やお持ち帰り等は全て厳禁です!

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フェイマリ二次小説。真実は、隣にいない彼しか知らない。



悔恨の果てにある真実



 目の前に創造主が居る。
 狂気をその顔に張り付け、全てが思い通りに行かないことに激怒し、私達の存在を完全否定する男。だけど、私はそんな事どうでも良かった。ただ、早くこの戦いを終わらせて、本来の日常に戻りたかった。

「0と1の集合体でしかない分際が、私に刃向かうなど片腹痛いわ!!」

 侮蔑を込めて言い放ち、創造主は我々に襲いかかってきた。しかし、今の私たちは創造主をも上回るほどの力を持っていた。創造主の攻撃をうち払い、ついに創造主は私たちの前で地を舐めた。

「そんな馬鹿な・・・0と1の集合体でしか分際が、私を・・・」
 創造主は信じらえないものを見るかの様に私たちを見ていた。その隣に寄り添うブレアが呼びかける。
「さあみんな、エターナルスフィアのバックアップデータを取り出して!私も出来る限り補完するわ」
「解りました!」
 フェイトがデータを取り出そうとしたとき、創造主が立ち上がり、近づくフェイトを殴り飛ばす。

「うわっ!」
「フェイト!」
「そうか・・・銀河系の消去けど等と言う生ぬるい手段を使おうとしたからいけないのだ」
 創造主はおぼつかない足取りでコンソールの前に歩み寄ると、キーボードを叩きだした。
「そうだ!私は神なのだ!!お前達を作り出した創造主なのだからなぁ!!」
 最後のキーが押された瞬間、開発室内に衝撃と雷光が走る。コンソールの前で狂気の果てにある笑い声が響き渡る。
「滅べ。滅べ。私の意のままにならぬ虚構の世界など消滅すればいい! 正義は絶対に勝つのだからなぁ!!」
 周囲にあるオブジェが次々と消滅していく。私たちは絶望た。ここまで来たのに、最後の最後で何も出来ないまま終わってしまうことに。
「このまま終わってしまうの・・・」
「くそっ、どうにもならねぇのかよ!」 
 クリフが左手の掌に、右手の拳を叩きつける。他のメンバも、ただ消滅していく世界を見ているしかなかった。
「・・・・・」
 私の隣にいたフェイトは、先程まで瞳を閉じて考え込んでた。しかし、何かを決意したかの様に目を見開くと、創造主の居るコンソールに向かって歩き出した。
「フェイト!何を!」
 周りの轟音と雷光がさらに激しさを増していく。既に周りは立っていられない程激しい衝撃が走り、もはやどうにもならない程、世界は消滅していった。
「・・・・」
 そんな中、フェイトは一度だけ振り返り、私たちに何かを言った。しかし、周りの衝撃音がその声をかき消してしまい、聞き取れなかった。

 ただ一人、私を除いて。

「!! フェイト!!」
 私は強引に立ち上がり、フェイトに駆け寄ろうとするが、床に亀裂が走り、彼の元に近づくことを拒まれた。
「フェイト!フェイト!行かないで!私を置いていかないでぇ!!」
 フェイトの身体から、白い光が立ち上る。そしてその光が頂点に達したその瞬間、時が止まった。彼の言葉が耳を掠める。

 ありがとう・・・

 私たちは草原の上にいた。懐かしい大地の匂い。肌を掠める涼しげな風。川を流れる水の音。囀る小鳥たち。何もかもが私たちの望んだ世界のままだった。
「ここは・・・」
「私たちは戻ってきたの」
 全員が頭を振り、まぶしい光に目を眩ませながら立ち上がった。
「!! フェイトは!!」
 私は最後の瞬間の光景を思い出し、張り裂けんばかりの声で彼の名を呼んだ。しかし、他のメンバーは私の声を無視し、ただ一点だけを見つめていた。私もその視線の先を追うと、そこには先程から呼び続けていた人が居た。しかし、その姿は既に淡雪のように、周囲に儚く消え去ろうとしていた。
「フェイトーっ!!」
 私は走った。どうすれば彼を現世に留められるのかは解らなかったが、とにかく彼を抱きしめ様と思った。それだけしか考えられなかった。しかし、彼を抱きしめるその瞬間、最後の言葉を聞いた。その瞬間のフェイトの顔は、穏やかであった。

 ・・・さようなら

 その言葉と共に、彼は幻の様に消え去ってしまった。そこにはただ、周りと変わらない風景だけが残った。
「い・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 その叫び声を最後に、マリアの心は完全に闇の中に堕ちていった。

 シランド城礼拝堂の長椅子に、マリアは座っていた。海の色を写したと言われているその髪も既に汚れて黒く染まり、その美しい顔立ちは窶れはて、その頬は、涙の後ですり切れ、生気の欠片も写してはいない。
 彼が目の前で消滅した後、マリアはここ礼拝堂の長椅子に腰掛けたまま、動こうとしなかった。食事はもちろんの事、睡眠すらろくに取らず、ただここに座り彼の名を小さく囁くだけであった。クリフやネルは、どうにかして彼女を部屋に連れ戻して、十分な睡眠と食事を取らせようとするが、彼らが近づくだけで、マリアは腰のフェイズガンを抜き放ち、彼らを自分の側に近づけようとはしなかった。
 全てを拒絶し、愛する人の名と想い出だけが、今のマリアの全てであった。もやは手の付け様がなかった。

「・・・フェイト、私は・・・」
 既に生きているのが不思議なほど、生命そのものを削り果たしたマリアは、その呟きと共に立ち上がると、神像の前にあるパイプオルガンの椅子に腰掛けた。既に指を動かすことさえ困難なほど衰弱しているはずなのに、マリアは迷い無く鍵盤を叩いた。深夜の城内はもちろんの事、城下にもその音色が響き渡った。
「!!」
「まさか・・・」
 城内にいる全ての人物が、突然鳴り響く音色に驚愕し、礼拝堂に向かった。マリアは演奏を続けた。何もかも全てを捨て去るかの様に。そんなマリアを、礼拝堂の入り口で女王を初め、仲間達やラッセル、クレアが固唾を飲んで彼女の演奏を聞いていた。止めることは出来なかった。止めてはいけないと思った。しかし、今まで共に旅をしてきた仲間達の中でも、特に彼女とのつき合いが長いクリフとミラージュは得も言えぬ不安が心を支配していた。そう、曲名「愛しきあの人と、永遠に共にある誓いを」が、その不安を拭い去れない原因であった。

 終焉曲が近づくと、マリアの口からその音色に乗せるように歌が聞こえてきた。

「許されざる力持つ人の手によりて、新しき御世は生まれたもう。されどその御世は、その者が贄となりて生まれし世界なるもの。その者、幸福を得ること叶わず。ただ歴史の流れに名を残すのみ。彼の者が愛したもの、祝福ある曲の後、彼の者の後を追わん・・・全ての幸福を彼と共に分かつ為に。忘れること無かれ。彼の名と、その犠牲の上に作り上げた偉業を!」

「マリア!!」
 彼女の最後の言葉を聞いた時、クリフとミラージュは彼女の元へかけだした。不安は、ついに現実のものとなり、終焉曲が礼拝堂に鳴り響いた。響き渡る音色が静まると同時に、マリアは崩れ落ちた。
「マリア、どうしてそんな道を選んでしまったんですか!そんな事をして、フェイトさんが喜ぶと思ったんですか!」
 もはや虚ろな目で天井を見上げるだけのマリアに、ミラージュは涙ながらに語りかける。しかし、返事はまったく的はずれなものだった。
「フェイト・・・私には貴方、しか。だ・から・・・貴方の・・元へ行く・・事を許し・・て」
 その言葉と同時に、礼拝堂に目映い光が舞い降りた。月の光ではない。そう、仲間達には忘れる事の出来ないその光の中から、蒼い髪の青年が現れた。しかし、その姿は陽炎の様に揺らめいていた。
「フェイト・・・フェイト・・・」
 マリアはその姿を見ると、右手を彼に向かって差し出し、必死になって彼を掴もうとしていた。彼は優しく微笑むと、彼女の手を両手で握りしめた。フェイトがマリアの手を握りしめると、彼を包む光がマリアを包み込んだ。そしてその光が収まると、彼は天空に舞い上がる様に消えていった。その彼の傍らには、彼に抱きしめられ、旅の最中何度も見せていた微笑みを浮かべているマリアの姿があった。
 その場に居合わせたもの全てが、今の出来事に驚くだけで精一杯であった。そしてそんな全員を現実に引き戻したのが、マリアの右手が床に落ち、礼拝堂に鳴り響いた音であった。
「!! マリア!!返事をしてください、マリア!!」
 ミラージュが何度も呼びかけるが、もう答えは返ってこなかった。その時のマリアの表情は、ようやく希望が叶ったかの様に、安らかに微笑んでいたという。


 これが彼女が望んだものだったのか・・・
 幾万の名声も富も、歴史書に名を刻む事も彼女は望まなかった。彼女が望んだもの、それは愛しき人と、静かに年を重ねていく事だったと、彼女の側にいた数少ない少女は後に語る。しかし、その愛しき人を失い、悔恨の果てに選んだのは、新しき相手を選ぶ事ではなく、一途に思い続けた彼の後を追う事だった。それが、彼女が悔恨の果てに、変わる事なきその思い故に選んだ、真実であった。
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2007.03.21 14:19 | 二次小説 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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